Betweenセミナー2008 開催報告

たかの・のぼる

プリンスホテルスクール(現日本ホテルスクール)第1期卒業。 1974年渡米。ニューヨーク・プラザホテル、サンフランシスコ・フェアモントホテルなどでの勤務を経て、1992年にリッツ・カールトンの日本支社開設のため帰国。1994年、現職に就任。リッツ・カールトンの日本における営業・マーケティング活動を行いながら、1997年のザ・リッツ・カールトン大阪の開業準備に参画。2007年にザ・リッツ・カールトン東京を開業。著書に『リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間』(かんき出版)。

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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Betweenセミナー2008 開催報告

教育力向上をめざす大学ブランディング

(株)進研アドは2008年12月9日、名古屋市内のホテルで、Betweenセミナー2008「教育力向上をめざす大学ブランディング」を開催した。中部地区の大学関係者ら約100人が参加。基調講演では、ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー日本支社支社長の高野登氏が、ブランドを日々の現場で体現することの重要性を説いた。

基調講演:大学に求められる「ブランドマネジメント」の視点

講演者
 高野登氏 ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー日本支社支社長

価格競争に背を向けブランドを維持

 ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー(以下、リッツ・カールトン)は、世界各地にホテルを持つ。日本では、1997年の大阪に続き、2007年に東京にオープンした。日本支社支社長として私が大切にしていることは、ホスピタリティ(もてなしの心)と、リッツ・カールトンが持つブランドのカテゴリーを崩さないことだ。
 2008年11月に世界のリッツ・カールトンの支社長を集めて開かれた会議で私たちが確認したのは「激しく変化する経済の波にしっかりとしたアンカー(碇)を下ろさなければいけない」ということ。他社に対して優位に立つために、企業哲学とビジョンをしっかり持つべきだということを、あらためて共有した。
 そこで、「積極的に何もしない勇気を持つ」という方針が全社的に共有された。何もしないということは、してはならないことをせずに、これまでのサービスをさらに深めていくという意味だ。
 リッツ・カールトンでは、「ブランド」は「信頼」であると定義している。顧客からの信頼が失われないことを最優先とし、支社長会議が開かれた2008年11月からの3年間を「我慢の時代」と位置付けた。特に、価格競争への参入はタブーとした。宿泊料を安くすると、リッツ・カールトンのブランドのカテゴリーが崩壊する。それによって、顧客からの信頼が失われる可能性が高いからだ。

会場の様子

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