自学のキャリア形成支援が「産業界（企業等）からどのような評価を受けていると認識しているか」という問いに対しては、「意義がある」（とても＋まあまあ）が６４．０％で、「意義がない」（あまり＋ほとんど）は１．２％、「どちらともいえない」は３２．１％に上った。
　一方で、産業界からの評価の把握については、「把握している」（きちんと＋まあまあ）の約２割に対し、「把握していない」（ほとんど＋あまり）が７割以上に上った。産業界にとっての意義を認識する前に、そもそも評価の把握ができていないのが実態である。
　また、産業界から期待されていると考えることと、実際に出ている効果には、ギャップがある。選択肢が一部異なるため単純な比較はできないが、産業界からの期待の上位３位は「コミュニケーション能力等の基本スキルの向上」（６８．６％）、「職業観・勤労観の醸成」（６３．７％）、「マナーやモラルの向上」（３４．１）％。対して、実際の効果の上位３位は、「就職活動への取り組み姿勢の向上」（４６．２％）、「職業観・勤労観の醸成」（４１．２％）、「全般的な意欲の向上」（２２．７％）で、基本スキルは９位、マナー・モラルは１２位であった。
　キャリア形成支援は、もちろん、産業界のためだけに行われているのではない。しかし、少なくともほかの教育プログラムに比べれば、実社会、特に産業界との関連性が強く、その点を軽視した取り組み内容ではあまり意味を持たないであろう。
　外部機関（企業、公共機関等）との連携は、「している」（かなり＋まあまあ）が５１．２％で、「していない」（ほとんど＋あまり）３９．５％。連携先は、「業者、人材サービス会社」が約４割で最も多い。これと、「民間企業」をはじめとする他の連携先とは、連携の中身がかなり異なると推測される。
　連携の効果は、「かなり出ている」１４．５％、「少し出ている」４３．９％、「どちらともいえない」１６．２％である。効果の内容は、「学生への刺激」が最も多くて過半数を占め、「カリキュラムやプログラムの充実」「情報の収集や活用」と続く。
　自学の「キャリア形成支援」を100点満点で自己採点してもらったところ、平均点は６１．１点であった。「就職支援」は７６．９点で両者には約16ポイントの差があり、キャリア形成支援に課題を感じている大学はまだまだ多いようである。

※経済産業省の「キャリア形成支援／就職支援についての調査」の結果データを基に作成。