特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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週1コマの全学参加型キャリアイベントを開催

 2008年度には、大学と一緒に学生を育てる「CUCアライアンス企業」を募り、連携事業を始めた。企業が求める人材像を学生に伝えるフォーラムや、社員と人生や仕事について語り合う「キャリアカフェ」などを開催している。
 また、起業をめざす学生に、活動場所として空き教室を提供。そこで手作り弁当ビジネスを始める学生グループが現れた。また、テニスサークルが地域の小学生を対象にスクールを開き、キャンパス内ビジネスを展開し始めている。
 2009年4月からは、毎週水曜日の3限目を「ユニバーシティ・アワー」とした。この時間には全学的に授業を行わず、知識人の講演会、教員の特別授業や学生活動の表彰など、イベントを開催。学生に知的な刺激、感動、喜び、充実感や達成感を共有できる機会を提供し、千葉商科大学としてのユニバーシティ・アイデンティティーを醸成することをねらいとする。
 イベントのテーマは、世界金融危機の影響やインフルエンザの予防といったタイムリーな話題、エコ活動や企業との交流会など、キャリア教育に有益なものが多い。参加率は100%をめざす。できるだけ多くの学生に、幅広い視野で社会をとらえてほしいというねらいからだ。大学が、本気になってキャリア教育に取り組んでいる姿勢がうかがえる試みだ。

学生インタビュー


準備作業を通して問題解決能力が向上

商経学部商学科
4年

小林和加さん


 1年生の時から毎年、「キッズビジネスタウンいちかわ」に参加しています。子どもが町をつくり、物を作ったり売ったりして働き、お金を得て消費するという社会の一連の流れを体験できるイベントに、強い興味を覚えたからです。教員志望なので、子どもと接し、教えるということを体験したいという思いもありました。
 学生スタッフは約20人。開催前年の6月から毎週1回、集まって準備します。課題は山積みで、毎年、開催日を迎えるまで作業に忙殺されます。当日もさまざまなトラブルの処理に対応し、辛いことのほうが多いと思います。それでも続けられたのは、子どもや保護者からの感謝の言葉や手紙に勇気づけられ、また、子どもが成長している様子を実感できたからです。
 この活動を通じて、多くのことを学びました。準備段階では、異なる意見をいかに集約して最適な解決方法に導くかという問題解決能力が鍛えられました。また、自分の気持ちを子どもに伝える難しさを実感し、教える立場の姿勢や自覚について、何度も考えさせられました。
 この活動への参加をきっかけに、進路を変更した友人も少なくありません。学生が自分自身のキャリアを考えるうえで、大きな意味を持つイベントだと思います。


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