リーダーズマインド

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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改革の根本にある“Open Minded”

川目 明治大学は2011年に創立130周年という節目を迎えます。これまでの改革をどのように総括し、次代につなげたいとお考えですか。

納谷   まずは、「グローバルコモン・プログラム」を軌道に乗せ、私立大学の国際化のモデルになるよう努力していきます。また、教養系の新学部とともに、スポーツ系の新学部の設置も構想中です。日本は世界一の長寿国ですが、社会環境がそれに追いついていません。本学は学生スポーツを大学教育の一環として位置付けています。新学部では、スポーツを通して大学と社会をつなぎ、地域社会のリーダーになれる人材を育成します。

川目 大きな改革が続きますが、その根本となる方針をお聞かせください。

納谷  バブル期、企業はやみくもに多角化に走りましたが、本学の改革はそれとは根本的に違います。持っている教育・研究資産をいかに活用すれば、その力を最大限に発揮できるかというところに立脚しています。他大学を真似ようとしても意味がありません。自らの可能性と限界を見極め、明治大学らしい改革に取り組まなければ、生き残ることはできないでしょう。創立130周年、150周年に向けて本学のあり方をデザインし、次代に引き継ぐのが、今の私の仕事だと思っています。

川目 自らの可能性と限界を見極めながら、「外部評価に耐えうる大学」「世界に開かれた大学」をめざそうとする姿勢は、まさに“Open Minded”であると感じました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

国際的な知の拠点をめざす「グローバルコモン・プログラム」
 2009年度、文部科学省の国際化拠点整備事業(グローバル30)に採択された「グローバルコモン・プログラム」は、明治大学が国際的な知の拠点となるべく立ち上げたプログラムだ。2020年までに4000人の留学生を受け入れて、1500人の学生を世界に送り出す。
 特徴の一つは、企業との連携。JTBの海外支店網を活用して日本への留学窓口を整備する。また、ベネッセコーポレーションと連携し、留学ポータルサイトの充実、ウェブ出願システムの開発、海外拠点での面接などを推進。日本企業や現地企業への就職を支援し、「現地募集→入学→就職」というシステムの確立をめざす。明治大学は、コストをかけずに企業の資源やノウハウを活用できる一方、企業は取り組みの中から事業化の可能性を探る。
 留学生受け入れの教育インフラの整備も欠かせない。学部・大学院における英語コースの拡充、厳格なGPA制度の実施、ダブルディグリープログラムの開発などを進める。大学間交流協定を250校に拡大、外国人教員比率の10%上昇、日本の文化・社会・技術等を学ぶ「クールジャパン科目群」の100科目設置など、具体的な目標を掲げる。
 各学部では、国際交流委員会を独自に設置し、外国籍の教員を増やすなどの動きが起きているという。大学の取り組みが認められ、社会の注目を集めているという誇りが、学部の自助努力を促しているようだ。
図:海外からの留学を促進するための取り組み

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