カリキュラムには、学生を学習に向かわせる工夫が数多く見られる。
　例えば、１年次の必修であるリーディング、ディスカッション、ライティングの科目で、それぞれ「平和の追求」「科学と宗教」「現代と人権」「生命の危機」という４つのテーマ（コアトピック）を順に学ぶ。リーディングで「平和の追求」を学ぶ時期は、ディスカッションやライティングの授業でも同じテーマを学ぶわけだ。科目間のつながりを意識させ、テーマへの関心をいっそう高める効果を期待している。
　４つのテーマの内容は、「21世紀を生きる女性として大切な教養」を学内で検討して決定、独自にテキストを作成した。そこには、「英語を学ぶ」ではなく、「（教養を）英語で学ぶ」というコンテンツ重視の姿勢が貫かれている。興味深い点は、職員も参加してテーマを決め、全学でテキストを作成したこと。「ミッション・ステートメントに基づく教育方針を教職員全員で共有したかった」と、智原学長代行はねらいを語る。
　英語の各科目には「リエゾン」と呼ばれる橋渡し役の教員を配置し、クラスごとに学習内容や進度にばらつきが生じないように調整。さらに、すべての教員が「コミュニケーションボード」に毎回の授業計画を書き込み、他の科目の状況を一目で把握できるようにしている。２方向からの確認により、授業の質を維持しているわけだ。
　授業計画だけでなく、学生に関する情報を日常的に交換し、教員全体で個々の学生を支援するのは、小規模大学ならではの取り組みといえる。各クラスに「チームリーダー」として配置された教員が、他の教員から出席情報を集め、「ある科目にだけ出席していない」といった状況が起こらないように見守る。
　２年次は４つのテーマから興味を持った内容を選択して学習を深め、３年次以降は国際マネジメントコース、国際協力コース、国際コミュニケーションコースの３つに分かれる。１年次から専門領域とのつながりが見えやすく、学習の意義を感じられるカリキュラムといえる。