特別企画

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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レディネス形成における入学前教育の重要性

 高大連携において、今後さらに重要になるのは入学前教育だろう。高校現場に配慮し、早々と合格が決まった生徒に継続的な学習を課すという目的だけにとどまらない。目的意識が希薄な入学予定者、その大学が第1希望ではない入学予定者に対し、入学までに意識とモチベーションを最大限、引き上げておくことは、今や大学にとって極めて重要な課題となっている。大学での教育に大きな影響をもたらすからだ。
 推薦入試やAO入試の合格者にも、一般入試を受験する生徒と同様にセンター試験の受験を促し、その得点を高校3年間の自分の学習成果として確認させる高校もある。ただ、現実的には、それを徹底させるのは難しい。
 対策として、入学前に通信教育やeラーニングプログラムによる学習を課したり、学内で入学前教育の講義を開催したりする大学が増えてきた。ところが、それらのプログラムは、必ずしも高校での教育課程を考慮したものとは限らない。
 そこでのミスマッチは、結果的に学習意欲の乏しい学生を受け入れることになり、初年次教育に大きな支障を来す。高校での学習内容をふまえた入学前教育を実施し、次なるステージへのゼロ段階と位置付けてはどうか。受講生の達成感が大学での学習意欲の向上につながれば、教育効果も上がるだろう。これからはこうしたレディネスの形成が大切な要素になってくる。
 そのために、大学はどのような内容の入学前教育を課すのか。高校や教育委員会から情報を収集し、理解を得ることも必要になる。また、大学と高校の対話は、双方が直接、情報を交換する機会にもなる。大学にとって将来の入学者である高校生と向き合っている高校教員が抱く悩みや課題は、大学の教職員にも通じるものがある。高校が行う課題解決の取り組みが、大学での取り組みの重要なヒントになり得るだろう。
 高校と大学による直接的な対話、コミュニケーションは、高大連携の可能性を広げ、双方に大きなメリットをもたらすはずだ。互いの教育をどうつなげていくか、その姿勢が問われている。(情報企画部/飯塚信)


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