母校への愛着度には、大学生活の充実度、友人・先輩・後輩・恩師とのつながりが影響を与えていることがわかった。入試難易度や志望順位との間に強い相関は見られなかった。これらの結果から、大学に対する外面的評価や入学時の“本意度”に関係なく、「今」の自分をつくり上げているのが「大学時代」の経験だと思えるか否かが、母校への共感や愛着を決定づけると考えられる。
こうしたことは、大学が知的能力を高めるためだけの教育機関ではないことを考えれば、当然ともいえる。卒業後も視野に入れた生涯にわたる人間的成長を支える豊かな経験、人間関係構築の機会を与えることも、大学の重要な使命だろう。
大学で形成される人間関係の中に、さまざまな形で卒業生とのかかわりを組み込むことができれば、母校への愛着を軸とする人間関係、コミュニティーの形成が促されるはずだ。
|