特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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多様性に対応した 「場」の提供が必要

 卒業生とのパートナーシップを構築するためには、卒業生が願っていることの、より正確な把握が必須の作業といえる。年代が幅広く、要望も多岐にわたる卒業生へのアプローチを容易にするため、以下のような分類ごとの分析が必要と考えられる。(1)年代、(2)所属していたクラブ・サークル(クラブ・サークルに所属していなかった卒業生)、(3)所属していた学科・ゼミ、(4)職域。
 本学では卒業生向けの広報として、リーフレット・会報誌などを発行し、校友会ホームページも開設しているが、60歳代を境にインターネットの利用率が大幅に下がるため、印刷媒体と電子媒体の併用は今後も続くと考えている。しかし、今後はさらに、コミュニケーションの様相が変化し、これらの比重は徐々に変化すると予測される。
 卒業生とのコミュニケーションが変化していく中で、卒業生調査はとても重要だ。問題は、どのような切り口で臨むかであり、調査結果を基に多方面の卒業生と懇談し、プランニングを進めることが大切であると考えている。
 20歳代から80歳代までの卒業生のあり様は多種多様だ。校友センターの使命は、その多様性にきめ細かく対応した「場」の提供だろう。特に、クラブ・サークルに属していなかった卒業生は、ゼミ、学年・学科の仲間と旧交を温める機会を求めていると思う。
 20歳代から50歳代までの世代の多くは、広い意味で職域などの情報交換も求めているだろう。さまざまなOB・OG会がすでに存在しているが、縦の系列で束ねる組織形態だけでなく、横の系列でも束ねるマトリックス的な枠組み・しくみづくりが重要であると考える。
 このようなしくみを卒業生に提供できてこそ、奨学金制度をはじめとする卒業生による在学生支援も期待できるのではないだろうか。
 明治学院大学が大切にしたいのは入学時の満足ではなく、卒業時の満足度である。卒業後は「明治学院大学で学んで良かった」と語ってほしい。そのためには、卒業生からの評価に耳を傾けたうえで、広義の意味での大学の環境改善に教員・職員が協力して取り組み、在学生、卒業生とより良い関係を築くことが大事であると考える。

卒業生調査に見る教育理念の受け止め方

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