リーダーズマインド

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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 LEADER'S
 MIND
 No.007

日本の未来を見据え
大学のあるべき姿を追求し続ける

  LEADER 高知工科大学学長 佐久間健人
   INTERVIEWER (株)進研アド代表取締役社長 川目俊哉

高知工科大学は、2009年4月に公設民営の私立大学から公立大学法人となった。地域に貢献する大学をめざし改革を進める佐久間健人学長に、その成果と展望、大学のあるべき姿を聞いた。

県民の悲願だった 地元での工学教育

佐久間健人学長川目 高知工科大学は1997年に公設民営の私立大学として開学し、教育や地域連携において特色ある活動に取り組んでこられました。これまでの成果をどう総括されますか。

佐久間学長(以下佐久間) 本学が設置されるまで、高知県には国公私立を問わず工学教育を行う大学はありませんでした。高校生が工学部に進むには県外に出なければならず、戻って来ても高知には製造業が少ないため就職もままなりません。高知県にとって、工学部の設置は悲願でした。その期待に応えるべく、本学は「大学のあるべき姿を常に追求し、世界一流の大学を目指す」という理念を掲げ、他大学には見られない新しい取り組みを取り入れてきました。
 1年間を4期に分けて短期集中で学ばせる「クォータ制」を採用し、必修のない全科目選択制としました。1クラス10人程度の専門的な内容の少人数セミナーや、企業勤務の経験者による「教育講師制度」、大学での学び方や実社会で必要な課題発見・問題解決能力を身に付ける「スタディスキルズ」など、ユニークな取り組みを次々と導入しました。
 卒業生アンケートでは教育への評価が高く、就職内定率も1期生以来、98%前後で推移しています。研究面では、工学と社会科学の融合分野である「社会マネジメント・システム」の拠点形成が2004年度の21世紀COEプログラムに選定されました。

川目 教育活動に加え、地域との連携にも力を入れてきました。



佐久間 開学以来、産官学連携による社会貢献を重要な役割として掲げてきました。本学のある香美市には、産学連携の拠点として、県が整備した「高知テクノパーク」という工業団地があります。本学の研究者が開発したカーボンナノチューブやロボットの技術を製品開発に生かしたいと、地元はもちろん、県外の企業もテクノパークに進出しています。産学連携を通じた地元貢献は、ある程度の成果が見えてきたと自負しています。


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