リーダーズマインド

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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若手教員の提案で 工学部を再編

川目 2009年4月から公立大学法人として再スタートを切りました。

佐久間 公立大学法人化にあたり、県民の中には「県の財政負担が増えるのではないか」と危惧する人がいました。文部科学省からの私学助成はなくなりますが、総務省からの地方交付税の基準財政需要額に算入されて県に交付されるので、県の負担が増えるわけではないと説明し、納得を得ました。

川目 学内の教育研究体制の見直しなどはされたのでしょうか。

佐久間 公立大学になったからといって、教育を変えることはしていません。ただ、組織は常に進化しなくてはいけないと考えています。どれほど良い組織でも、時間がたてば、制度上の問題や世の中の流れに合わない部分が出てくるからです。
 2008年度には、初の文系学部である「マネジメント学部」を開設しました。従来の工学系の人材教育に加え、経営イノベーションを支える人材の育成を通して、さらなる地域貢献を進めるのがねらいです。
 2009年度には、工学部を3学群13専攻に再編しました。現在の工学教育は極度に細分化されているため、同じ学科なのに他の教員が何を研究しているのかわからない、ということもあります。新しい編成では、1・2年次に工学分野を幅広く俯瞰的に学んでから3年次以降に専門分野を深く学びます。
 工学の専門分野は多様な広がり方をしているのに、そのような教育システムだと後れをとるという人がいることは確かです。しかし、全体像を押さえられないまま専門分野を学んでも、必要な知識や技術が身に付くとは思えません。少々遠回りをしても、工学全体を把握したうえで専門分野にアプローチしたほうが、理解や向上が早く、間違った方向に進まずに済むのではないでしょうか。

川目 大幅な組織改編を行うにあたり、学内の意見を調整するのは大変ではありませんでしたか。

佐久間 マネジメント学部の設置は学長主導で進めましたが、工学部の再編は、若手教員から自発的に出てきたものです。「マネジメント学部の設置で大学の改革が終わったと世間に思われたくない」と言って、積極的に改革を提案してくれました。
 本学は開学以来、学長と教職員の垣根がないのが特徴であり、改革の過程では教職員から多くの建設的な意見が出されました。他大学であれば数年かかると思われる改革をわずか1、2年でできたのは、教職員の意識が高いからだと考えています。


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