７年間にわたる授業改善の取り組みの集大成が、2008年３月に授業開発センターが発行した教員向けの授業マニュアル『みんなでつくるＤＩＴの授業』だ。Ａ５判234ページの冊子は、『授業批評』の内容に基づいて編集された。今の学生を目の前にして、授業をどのように進めればよいのか、悩み、反省し、改善を積み重ねた教員たちが、現場で体得したヒントのような内容がめだつ。
　授業開発センター副センター長の尾形和哉准教授は、「教員一人ひとりの考え方や迷いをそのままつづったような内容で、『これがよい授業だ』という結論を明記しているわけではない。同じように今の学生と向き合いながら試行錯誤している同僚の実践であるからこそ、共感でき、自分の授業にも取り入れやすいのだろう」と話す。
　この冊子は、思わぬ形で外部からの反響があった。自学の教育を知ってもらおうと、高校教員を対象にした大学入試説明会で配布したところ、「もっと分けてほしい」という依頼が多数、舞い込んできたのだ。
　酒井センター長は、「『授業批評』は、広報を目的に作成しているわけではない。これまでの蓄積によって授業が改善され、その成果が外部にも伝わり、結果として広報活動につながっている」と話す。
　2008年７月、読売新聞の特集「大学の実力　教育力向上への取り組み」調査における大学アンケートの西日本編で、大同大学は「教育力向上の取り組みで注目、評価している大学」で10位、「ＦＤに関する取り組みでモデルにしている、または参考にしている大学」で８位となった。
　教育重視の姿勢を鮮明に打ち出して授業改善に挑む大学の姿勢は、着実に学内外へと伝わっている。