研究授業と授業研究会をその場だけで終わらせずに、理論化し、学内で共有するために発行するのが『授業批評』だ。2001年８月に創刊され、2009年10月に34号を発行した。Ａ４判10ページで、毎号３、４人分の授業について報告する。
　授業担当者が授業方針、授業内容や感想を執筆。参観者が授業の様子や授業研究会での議論をレポートする。レポートには、「考え方が広がるような授業だった」といった好意的な意見だけでなく、「教員の話だけでなく途中で作業を入れた方がよい」といった指摘も載せる。
　『授業批評』というタイトルには「悪いことを指摘される印象を与える」という意見があり、「講評」「研究」といった案も出た。酒井センター長は、「互いに遠慮して欠点を指摘できずに褒め合うだけでは、授業改善は期待できない。授業改善を行うという強い決意が、タイトルには込められている」と説明する。
　このような取り組みの結果、授業は確実に改善されている。授業開発センターが継続的に行っている学生対象の授業アンケートを分析した結果、授業理解度は2001年度から年々上昇傾向にあり、また、研究授業実施教員のうち前年度のアンケートで評価が低かった教員は、次年度の評価が上がっていることがわかった。
　2009年度、研究授業および授業研究会に新たな内容が加わった。「学生参加型の授業」「ＩＣＴの活用など授業スキルに長けている授業」といった「テーマ別研究授業」を始めた。教員一人ひとりの授業改善に加えて、今後は優れたノウハウの共有にも力を入れる考えだ。