2009年度の大学案内等の資料請求者数は大きく変化した。県内からの請求は前年度比２０.８％増。さらに、北海道・東北１０３.８％増、中部８８.９％増、九州地方３２.８％増と、遠方からの資料請求が大幅に増えた。海見理事長は、「イベント協賛による影響を正確に測定するのは難しいが、校名変更によって受験生の関心が高まったのは確か」と分析する。
　ＭＵＳＩＣ ＣＵＢＥは2010年３月に２回目の開催が決定し、広島文化学園は引き続き冠スポンサーになる。回を重ねてこのイベントが地域に定着するにつれて、広島文化学園大学・短大の存在感も高まるという期待がある。
　イベントの成功を機に、地域社会におけるコミュニティーづくりや共同事業にも、さらに力を注ぐ考えだ。３つのキャンパスに設置されているエクステンションセンターでは、年間100以上の公開講座を開講している。ウェブサイトや折り込みチラシなどで積極的に広報し、地域住民の学びの場として定着させたい考えだ。
　学生によるボランティア活動も、大学・短大と地域社会をつないでいる。学内にはボランティアサークルが多く、多様な選択肢がある。音楽学科の学生が高齢者施設や小学校で演奏会を開いたり、食物栄養学科の学生が一人暮らしの高齢者のために弁当を作ったりと、大学・短大での学びを生かしたボランティア活動が根付きつつある。
　イベントの協賛により大々的に校名をアピールしつつ、草の根的な活動を継続していくことが、地域社会における学園のイメージ形成に大きな影響を与えるだろう。
　産学連携を含めたさまざまな地域貢献の取り組みは、ある民間研究所がまとめた大学の地域貢献度ランキングで470校中98位になった。若者向けイベント、地域との共同、学生参加などを特徴とする広報のチャレンジは、他大学にとってもさまざまなヒントを含んでいるといえそうだ。