最後に、この５つの学習成果において、成長を感じている学生にはどのような特徴が見られるかを探る。
　各学習成果が大学入学後「大きく増えた」と回答した学生群と「変化なし」と回答した学生群別に、「大学での成績」「効果的に学習する技能の習得」「知的面での自信」「社交面での自信」のそれぞれに対する自己評価を分析。「大きく増えた」学生群は「変化なし」の学生群に比べ、大学での成績が「中の上」もしくは「上位」である割合が、いずれの項目においても明らかに高い。特に、「専門的知識」「問題解決力」「批判的思考力」といったアカデミックな能力においては、「大きく増えた」と回答した学生の方が「知的面の自信」を持つ割合が非常に高い。
　一方、「コミュニケーション力」や「チームワーク」といった対人関係能力においては、「大きく増えた」と回答した学生の方が「社交面の自信」を持つ割合が格段に高いことが特徴的である。概して、大学入学後、知識・技能・態度面において自分が「成長した」と実感している学生は、成績が比較的良く、自己評価も高い傾向にあることがうかがえる。