安永 東洋大学は哲学者である井上円了先生が創立された「私立哲学館」を母体としています。哲学を基盤として、どのような教育をめざしているのですか。
竹村学長(以下竹村) 円了先生は政治、法律はもとより、科学や芸術にも、その根底には哲学がなくてはならないという考えを持っていました。哲学は思想や精神を鍛える術であり、他に応用する能力も身に付けなければならないというのです。
最晩年の著作『奮闘哲学』では、
「哲学には向上門と向下門がある」と述べています。哲学は真理を探究する学問であり、その面では「向上門」です。しかし同時に、その成果をいかに世の中に生かしていくか、その思想の下に自分はどう生きていくのかという実践が伴わなければいけない。すなわち「向下門」が必要だということです。
そうした円了先生の理想を大学として実現するとともに、学生一人ひとりがそのことを自覚することにより、4年間の学びを有意義なものにしてほしいと思います。
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