特集
Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
  PAGE 11/52 前ページ 次ページ

入試の学力試験の有無で予習・復習の姿勢に差

 2008年10月に実施した「大学生の学習・生活実態調査」(大学生調査)から、推薦・AO入学者の高校時代、および大学での学習実態について分析した。高校の学習については、過去の習慣を振り返って答えているということに留意する必要がある。

図表4:大学進学までの実態

 図表4を見ると、「高校3年生」で大学受験対策を始めたのは、全体の55.6%に対し、推薦・AO入学者はそれぞれ59.6%、60.1%と若干高い。推薦・AO入学者は受験を早期に決めているが、早くから受験対策をしているわけではないようだ。
  また、高校1・2年時の平日の学校以外での学習時間を見ると、「ほとんどしなかった」が全体でも29.9%と最も高いが、AO入学者は36.4%、附属高校推薦入学者は47.0%とさらに高い。
  受験追い込み期の平日の学校以外での学習時間(塾や予備校等での勉強時間を含む)の平均は、一般入試・センター利用入試による入学者が約5時間、推薦・AO入学者が約3時間、附属高校推薦入学者は約2時間である。一般入試・センター利用入試による入学者と、推薦・AO入学者には1日2時間の差がある。この差が積み重なり、大学入学時点での学力差を生じさせているのではないか。
  では、学習に取り組む姿勢に差はあるのだろうか。高校での学習の様子について11項目を4段階で評価してもらい、「とてもあてはまる」と「まああてはまる」の合計で分析した。全体で6割を超えた項目は、「学校で出された宿題や課題をきちんとやっていた」74.5%、「授業でわからないことは、あとで自分で調べた」65.0%、「黒板に書かれていなくても、先生の話で大切なことはノートに書いていた」63.3%、「勉強方法を自分なりに工夫した」61.9%であった。
  一般入試とセンター利用入試による入学者(A)と、推薦入試・AO入試・附属高校推薦入試による入学者(B)の2つの群に分けて分析したところ、予習と復習の姿勢で顕著な差が出た。
  「テストで間違えた問題をやり直した」は、Aが48.1%、Bが35.4%(12.7ポイント差)、「予習をしてから授業を受けていた」は、Aが40.2%、Bが31.4%(8.8ポイント差)、「授業でわからないことは、あとで自分で調べた」は、Aが67.0%、Bが61.4%(5.6ポイント差)であった。一般入試・センター利用入試入学者のほうが、予習・復習に力を入れていたことがわかる。また、「自分の意思で毎日コツコツ勉強した」は、Aは39.1%、Bは31.7%(7.4ポイント差)であった。
  推薦・AO入学者のほうが高かった取り組みは、「学校で出された宿題や課題をきちんとやっていた」で、Aが71.5%、Bが81.9%(10.4ポイント差)であった。推薦・AO入試では調査書の評定平均値の基準を設定している大学もあるため、高校での成績に影響する宿題や課題にきちんと取り組んでいたと思われる。


  PAGE 11/52 前ページ 次ページ
目次へもどる
大学・短大向けトップへ