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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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進学先の早期決定を望む高校生と保護者

 推薦・AO入試を希望する受験生の共通項を、高校生・保護者調査から見てみよう。まず、高校受験時の入試方式との関係について分析した。大学受験で「推薦・AO入試の利用を決めている(利用した)」、程度にかかわらず「関心がある」との回答の合計は、高校を一般入試で受験した高校生の43.7%、推薦入試で受験した高校生の65.3%と、20ポイント以上の差があった。高校受験で推薦入試を経験した高校生は、大学受験でも推薦・AO入試を望む傾向があるといえる。

図表3:推薦・AO入試を希望する理由

 図表3は、推薦・AO入試を希望する理由の上位5項目だ。「早く進学先を決めたいから」が高校生で65.4%、保護者で55.3%と最も高い。以下、高校生・保護者共に「一般入試へ向けての受験勉強は大変だから」「浪人したく(してほしく)ないから」「志望の大学には推薦・AO入試の方が一般入試より入りやすいから」の順であった。学力試験がない、入りやすいという安易な考えで推薦・AO入試を希望していることがわかる。
 推薦・AO入試の受験も、早期に決めているようだ。推薦・AO入試での受験を決めた、または関心を持った高校生を対象に、受験することを決めた時期、または関心を持った時期を尋ねたところ、「高校1年生」が34.2%、「高校2年生」が28.0%と、6割以上が3年生になる前だったと答えている。
 図表2の高校教員調査を見ても、「本人の学力にかかわらず高2までの早期に推薦・AO入試の受験を決めている生徒」は、5年前と比べて2割が増えたと回答している。受験を決定する時期の早期化は、教員の実感するところになりつつある。
 高校現場では進学先の早期決定がもらたす悪影響を懸念している。「推薦・AO入試で早期に進学先が決まることは一般入試受験者に対する悪影響があるか」という設問には、「おおいにある」が12.6%、「ある」が36.8%、合計すると半数近くを占める。推薦・AO入試による早期合格者の学習意欲の低下が、一般入試受験者の意欲の維持に悪影響を及ぼすという懸念がうかがえる。


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