特集
Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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高大接続を図るための学習習慣の確立

 高校でのキャリア教育が、大学入試とどのような関係にあるのか、疑問に思う方々も少なくないだろう。
 AO入試が大きく拡大したきっかけは、1999年12月に中央教育審議会から報告された「初等中等教育と高等教育との接続の改善について(答申)」にある。答申は、特に初等中等教育と高等教育の接続の改善、およびこれらと社会との接続を強く求めた。それまでの教育改革によって大学の多様化と生徒の個性化がもたらされたのに対応し、両者をマッチングするための基盤整備を進めるべきだとうたったのである。
 すでに、この答申から10年以上たったが、初等中等教育と高等教育の接続は、十分に改善されたとはいえない。それは、高等教育の改革は進んだにもかかわらず、初等中等教育の改革が遅れたためだと私は考えている。
 答申の「第4章 初等中等教育と高等教育との接続の改善のための連携の在り方 第3節(3)」には、高校改革の方向性が示されていたが、十分には進まなかった。また、小学校段階からキャリア教育を進めることも初めて提起されたが、その後の取り組みは十分とは言い難い。
 10年を経て、当時想定した状況が現実化してきた。大学入学者選抜を学習の動機付けにした生徒指導が限界に来ているのである。生涯にわたって学ぶ態度を生徒が自ら身に付けられるようにするために、キャリア教育を通した学習習慣の確立がますます重視されつつあるのだ。キャリア教育の推進は、答申が求めた改革の決め手にもつながろう。


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