進研アドのまとめ
期待されているのは、教育の結果としての就職状況
ベネッセコーポレーションが実施したさまざまな調査に共通して見られるのは、高校生の保護者や高校教員が基本的に各大学の卒業者の就職状況を重視する傾向だ。一方で、高校の進路指導担当者を対象とする調査では、「生徒には、教育内容よりも就職率のよい大学を勧めたい」という設問について、「とてもそう思う」「まあそう思う」と回答した合計は、20.4%にとどまった。
「就職率さえよければ教育内容はどうでもいい」というわけではなく、「質の高い教育が就職率の高さにつながっている大学を評価する」という考えの表れといえよう。大学が今後検討すべきなのは、専門教育を含め真に社会で活躍できる力を身に付けさせる教育をどのように実現するかであり、そこにそれぞれの個性と特色を反映すべきだ。結果としての就職率の向上が、「選ばれる大学」への道といえる。
大学教育の成果に対する社会からの期待や要望はますます強くなっている。大学は、高校、保護者、企業、行政、地域社会などのステークホルダーに対し、自大学の教育目標の明確化とともにそれを実現できる理由(=教育の中身)をわかりやすくアピールする必要がある。社会や雇用環境が変化する中、社会との接続という観点に立った教育改革は待ったなしだ。