学士課程教育体系化のステップ

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
  PAGE 4/4 前ページ

リストとマップの有効な表現や使い方の検討

 リストとマップを使いながらCPを図示化して表現する手法について述べてきたが、本学での取り組みを通して明らかになったCP策定にあたっての課題は次のとおりである。

  第一に、学問分野ごとの知識構造の差異をどの程度まで許容するかという問題である。理・工学部のマップについては直線型、その他の学部のマップについてはらせん型・同心円型が多かったが、それは学問分野の特徴が表れた結果と考えることができる。しかし、科目間の関連性を見いだせないほど大ぐくりの分類となっているマップもあった。それは学問分野の特徴としても解釈できるし、作業不足による完成度の低さを表していると解釈することもできる。しかし、一つ言えることは、もともと体系化されていないカリキュラムを体系的に図示化することはできないということだ。

  第二に、どうすれば効果的なマップを作れるかということである。学問分野によって、マップの表現方法は多様であるとしても、それぞれ、学習者にとってカリキュラムの構造や流れがわかりやすく、興味深く、記憶に残りやすく表現されている必要がある。学問分野の特性をふまえつつも、学習効果の高いマップの表現方法を探究する必要がある。

  第三に、リストやマップをどう活用するかという課題である。学習者に対して、どの時期に、どのような媒体で提示すると、学習に効果的なのかを検証する必要がある。各種出版物やウェブサイトに掲載するだけではなく、持ち歩けるように小さなパンフレットにしたり、学部の建物の入り口や教室に大きく掲示したりすることも効果的かもしれない。その際、リストとマップを共に提示する必要があるのか、マップだけで良いのかも検討するとよいだろう。

  第四に、リストにもマップにも表現できない情報をどこまで掲載するかということである。科目履修にあたっての条件や資格対応科目の区別など、表示すべき構成要素は他にもある。複数のツールを開発することにより、より厳密なCPを表現できるが、学習者にとっては、情報過多となる可能性もある。

  リストとマップの開発は、完成が最終目標ではなく、カリキュラムについて、継続して見直しを行う過程を通して、教員同士や学生同士が当該学問分野の知識構造についての認識を深めることに意義がある。


  PAGE 4/4 前ページ
目次へもどる
大学・短大向けトップへ