特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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ネガティブ情報を含めオープン化を希望

 大学側が公表したい情報と、高校生が大学選択に必要な情報。この2つが完全に一致することはないにしても、現状ではあまりにも落差が大きすぎます。一般入試の難易度が高くなくても、広報に力を入れられなくても、充実した教育を実践している大学はあります。そうした大学の魅力が高校生に十分に伝わってこないのが問題なのです。
 例えば、A大学はそれほど入試難易度は高くないが、学生の多くは在学中にTOEICで900点程度取れるほどの英語力を付け、就職状況は、入試難易度や知名度の高いB大学より良い。こうした情報は表に出てこないため、私は独自に入手して高校生に伝えています。
 今の子どもたちは、多品種・少量生産の商品の中から自分に合ったものを選ぶことに長けています。それでも、大学案内などから受けるイメージに影響されてしまうもろさも持ち合わせています。
 かつて、私は大学案内の読み比べを課す進路指導をしていました。これは、大学選びをするうえで、チェックしてほしい79項目の情報を挙げ、生徒がそれらの掲載状況を確認しながら、大学案内を比較していくというものです。写真やイメージだけに左右されず、大学の教育の特色や内容を比較・検討する力を養うための取り組みでした。
 79項目は、就職先の企業名や職種、大学院進学に関する進路情報、教員の専門分野や卒業論文のテーマ、ゼミ紹介をはじめとする教育内容にかかわる情報など、進路指導担当の経験から、大学案内に載せるべきだと判断した項目ばかりです。
 高校生には、公表された情報を正確に読み取り、複数の大学をしっかり比較検討したうえで、自分で選ぶ力を付けさせたいのです。そのためにも、大学にはネガティブな情報も含め、さまざまな情報を包み隠さず公表してほしいと思います。
 情報公表というテーマを、日本の教育制度を良くしていくための建設的な議論のきっかけにしてほしいと願っています。

(談)


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