特集
千葉吉裕

千葉吉裕

東京都立晴海総合高等学校主任教諭


Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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 高校教員の視点 

抽象的な説明や母数非公表の就職率


東京都立晴海総合高等学校主任教諭 千葉吉裕

理念と現実の溝を認め解決に向けて議論

 私は長年、高校の進路指導担当として大学案内をはじめとする大学発の情報に接してきました。大学は、高校生の進路選択に真に役立つ情報を十分に公表していないと感じています。
 特に、「大学での学びが社会でどう役立つか」については、抽象的にしか語っていません。そのため、「教育の質」を比較する際には、進路実績を指標とせざるをえません。しかし、これについても就職状況を含めた実態を明らかにしている大学は少ないと思います。明らかにしている場合でも、就職率の母数を公表していないことが多く、信頼性に欠けます。学生支援の具体的なプログラム、キャリアセンターのスタッフの人数などの公表も進んでいません。
 大学に望むのは、学科単位の正確な進路状況の公表です。卒業者数や留年者数、就職者数、大学院進学者数などを明らかにしてほしいのです。少なくとも、学校基本調査で文部科学省に提出しているデータを公表できないでしょうか。
 教育情報の公表も、不十分だと感じています。育成しようとする具体的な能力・態度を示し、どのようなカリキュラムで、また、どのような教員によるどのような方法の授業でそれを身に付けさせようとしているのか書いてほしいと思います。
 授業定員も知りたい情報の一つです。学部ごとにグラフ化するなど、伝わりやすくするための工夫が必要なのではないでしょうか。
 これらの情報は、大学間の比較ができるよう、全大学に公表してもらいたいものです。


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