大学ブランディング成功への道

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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マーコムが可能にする学内での価値観の浸透

 第一の効果は、大学ブランドの統一感醸成とコミュニケーションの効率化である。コラムで取り上げた明治学院大学の例を見るまでもなく、すべての表現のトーン&マナーを統一することは、見る側の印象を一定のイメージに導くと同時に、どのような内容でも速やかに大学名と結びつける効果を上げることができる。これがすなわち、小さなブランド群の大学ブランドへの統合である。
 第二の効果は、学内での「自学の価値観の浸透」である。簡単に「見た目」と言ったが、各種の発信物で統一されるデザインフォーマットは当然、建学の理念など大学の思想が下敷きになっているはずである。共通のデザインフォーマットの利用を促すことが、同時にそのデザインの背景にある思想を、マニュアルなどを通じて現場レベルに浸透させるのである。実際に外資系企業では、毎年かなり作り込んだコミュニケーションデザインマニュアルを現場に配り、「見た目を通じて心を伝える」活動を行っている。
 第三の効果は、全てのコミュニケーション活動にかかわるマーコムが、各コミュニケーション活動に対する顧客の多様な反応を集約して全学にフィードバックできることだ。どのようなコミュニケーション活動が顧客の関心を呼んだか、あるいは顧客に誤った印象を与えたか、成功と失敗の事例をその後の改善に生かし、さらにそれらの反応が暗示する外部の視点を学内に取り込む手助けをするのだ。
 コミュニケーションにおける重要な真理がある。それは、「我々が発信する言葉の『意味』は我々の言葉の中にはない」ということである。本当の意味は、受け手の反応の中にあるのだ。コミュニケーションの管理とは、アウトバウンドの管理だけではない。真に重要なのはインバウンドの収集と評価、フィードバックに関する総合的な活動なのである。マーコムとは、文字通りマーケット(外部)とのコミュニケーション(双方向の対話)なのだ。


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