大学ブランディング成功への道

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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名刺一枚に至るまでイメージを統一

 即効性がある対応とは「あらゆるコミュニケーションの一元的な管理」である。学外との全てのコミュニケーションについて、特定の部署が、情報発信前にその表現の見た目の印象や言葉遣い(トーン&マナー)の統一感が図れるように管理・指導するのである。大学案内、マスメディアでの広告や交通広告はもちろん、ウェブサイトや大学からのプレスリリース、さらには学内の案内板から名刺一枚に至るまで、大学から発信されるあらゆるコミュニケーションツールがその対象となる。
 このようなコミュニケーションの一元管理は、多様なブランド群を展開する企業で多く採用されている方法であり、それを担う「マーコム(マーケティングコミュニケーションの略)」という新しい部署も設置されるようになった。「小さなブランド群の大学ブランドへの統合」と「マネジメントの組織化」がコインの裏表と言ったのは、大学にマーコムの機能を導入することによって両方が同時に解決するからである。
 ここで注意を促したいのは、マーコムが管理するのは「見た目」だけであり、内容については基本的に各部門に任されていることである。ある学部が独自のイベントを企画したとしよう。その内容、告知方法や説明の組み立てを決めるのはその学部である。マーコムは効果的な媒体を紹介し、あるいは媒体社との交渉窓口になり学部を助けることはあっても、内容にまで口を挟むことはない。
 ただし、その広告等の見た目が与える印象については統一を徹底するのである。基調色の使い方、大学のロゴを置く位置、他のロゴとの距離間、口語調で軟らかい言葉遣いといった文章表現のルールなどである。このような表現のデザインフォーマットをすべてのコミュニケーションで統一するのである。
 日々の仕事に追われる現場の教職員にとって、このようなコミュニケーション管理は承認段階が増える煩わしいものだろう。しかし、それを補って余りある効果が、マーコムによるコミュニケーション管理にはあるのだ。


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