データから見るSELHi校と一般校の英語教育 SELHi校の指導のポイントを読み解く
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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プロダクション活動は授業に適応できない生徒を生み出す危険も!?

 ところで、図4の「授業満足度」のグラフで興味深いのは、G1〜G3レベルでは、SELHi校よりも一般校の方が「授業に満足している」と答える生徒の割合が高いということだ。SELHi校では、英語コミュニケーション能力の高い生徒は授業に満足しているが、低い生徒は必ずしも授業に満足していない様子がうかがえる。「プロダクション活動」重視の指導は、高い学力層の生徒には適していても、そうでない生徒には機能しにくいということも考えられる。
  図5「英語4領域+統合的学習」への自己評価は、「リーディング」「リスニング」「ライティング」「スピーキング」「統合的活動」の5領域について、それぞれ生徒に「できる・できない」を答えさせたものだ。
  このような自己評価は、学力が高くなるほど、「できる」と答える生徒の割合は高くなると考えられる。事実、「リーディング」「スピーキング」では、SELHi校、一般校ともに「できる」と答えた生徒の割合は、右肩上がりになっている。
  しかし、SELHi校のG3以下では、「ライティング」「リスニング」「統合的活動」で異なる傾向が見られる。まず「ライティング」だが、SELHi校で「できる」と答えた生徒の割合は、G1が33%、G2が23%、G3が26%と右肩上がりの傾向を示していない。「リスニング」でもG1が33%、G2が30%、G3が37%と上下動が起きている。また「統合的活動」においても、G1が25%、G2が23%、G3が27%と同様の傾向となっている。
  つまり、G3以下の学力層の生徒にとって「ライティング」や「リスニング」「統合的活動」は、自分ができているのかできていないのかが分かりにくく、学習に対するモニタリングが働きにくい状態にあると言えるだろう。こうした生徒に対して、「ライティング」や「リスニング」「統合的活動」に重きを置いた指導をしても、生徒は授業に適応するのが困難な状態になるのではないだろうか。SELHi校のG3以下の生徒の「授業満足度」が低いのは、その辺りに理由があるのかも知れない。

図5 英語4領域+統合的学習への自己評価
図5

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