特集 受け身から主体的な学習に向けて
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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偏差値50未満に「そこそこ志向」が増加

  図6は、成績観・学力観を聞いた結果だ。01年に比べ「できるだけいい大学に入れるよう、成績を上げたい」が増えた一方、「将来ふつうに生活するのに困らないくらいの学力があればいい」「どこかの大学・短期大学に入れる学力があればいい」も増えている。同じ項目を偏差値帯別の結果で見ると、偏差値50を境に大きな差が表れた(図7)。意欲の面でも「より上へ」と「そこそこ」の二分化が進んでいるようだ。

図6、7

  ある進学校では、毎年、1年生に「10年後の自分」と題した作文を書かせているが、近年、文中に「普通に」という言葉がよく登場するという。「そこそこ」でも大学に合格できてしまう状況で、いかに生徒を刺激していくかが課題になりそうだ。

国語、数学、英語、理科で授業の理解度が上昇

  最後に、授業の理解度について自己評価を尋ねた図8を確認したい。96年調査以降の推移を見ると、地歴・公民はほぼ横ばいだが、ほかの4教科では上昇している。これは、授業の難易度や教材を変えたり、わかるまで丁寧に指導したりと、学校が授業改善の努力をしてきた結果、生徒にとってわかりやすい授業が増えてきたともいえる。

図8

 一方、現場の教師からは「生徒が自己の学力を把握できなくなっているのではないか」「目標が以前より低くなり、基礎的な事項の理解だけで満足しているのではないか」という見方もある。理解度の向上については、慎重に見る必要があるだろう。

 以上から、(1)偏差値50以上55未満の学習時間の減少、(2)偏差値55未満の受動的な学習スタイル、(3)偏差値50未満の「そこそこ志向」という高校生の実態が見えてきた。これらに対して、学校現場はどのような状況で、どう対応しようとしているのか。次ページからは、3人の現場の先生方と、分析を担当したお茶の水女子大教授の耳塚寛明先生に話し合っていただいた。

調査概要

※第4回学習基本調査(速報版)はこちらから見れます


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