特集 「多様化」する保護者にどう対応するか

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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行きすぎる要求には「ノー」という態度で臨む

 保護者の視点に立った情報を提供し、ニーズにきちんと応えている同校だが、行きすぎた要求には「ノー」という態度で臨む。子どもが渡さなかった配付物を保護者会の際に配り直してほしいと言う保護者。きちんと連絡していたにもかかわらず、入試直前に子どもがセンター試験に出願していないことを知り、学校が一声かけなかったと批判する保護者。同校は、親子の対話のきっかけにしてほしいと、家庭での再考を求めた。
 「親子のコミュニケーションがきちんとできていれば、そうした問題は起こらないはず。すべての要求に応えるのではなく、線を引くべきところでは引き、保護者に責任を自覚してもらうことも大切です」と、鎌田先生は強調する。学校・生徒・保護者がそれぞれの責任をきちんと果たしていくからこそ、受験という「団体戦」を乗りきることができる。そうした思いが根底にある。
 今後の課題の一つは、安易な選択に流されやすい保護者の意識を変えていくことだ。
 「子どもに辛い思いをさせてまで第1志望を目指さなくてもよい、と考える保護者が増えています。3年生の夏ごろに子どもが辛そうな顔をしていると、保護者の方が先にくじけてしまい、第1志望を貫けなくなることも少なくありません。安易な方向に流されず、最後まで親子で夢を追い続けられる強い気持ちを持ってもらいたいと思います」
 学習と部活動を両立させる上でも、保護者の協力は必要だ。同校は、07年度に「文武両道委員会」を設置し、文武両道を模索し始めた。松原先生は、「部活動の保護者会では、部員一人ひとりの学習状況までは踏み込んで話していません。今後は部活動の状況だけでなく、進路面の内容も含めて話し合うことで、保護者や顧問に文武両道の大切さを自覚してもらいたいと思います」と話す。


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