指導変革の軌跡 京都府立海洋高校「専門高校の特色を生かした学習意欲の涵養」
VIEW21[高校版] 新しい専門高校の特色を生かした学習意欲の涵養のパートナー
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緊張感や達成感が学習意欲につながる

 「生産販売プログラム」は、実習で生産または漁獲した水産物をアンテナショップなどで販売する取り組みだ。実習製品の販売は、以前は学校祭など限られた機会だけで、多くは校内で消費・再利用されていた。今回、地元のスーパーマーケットで販売活動を展開したり、高齢者福祉施設に寄贈したりして流通網を大きく広げた。また、「海洋市場」と銘打って校内を年8回開放し、地域の方々への海産物の販売も始めた。
 総務企画部長の上林秋男先生は「校内での実習を繰り返しても、社会に通用するかどうかは実感できません。自分たちが作ったものを実際に販売することで得られる緊張感や達成感が、学習意欲につながると期待しています」と話す。
 これまで同校が手がけていなかった新たな分野にも挑戦している。全国でも珍しい屋内水槽でのトラフグ養殖や、海の厄介者であるヒトデをたい肥として活用する試みなど、「府内初」「高校初」の取り組みを積極的に行った。
 「チャレンジする緊張感と達成したときの喜びを体験することで、生徒のモチベーションを高めるのが狙いです。本校の生徒の多くは、自分に自信が持てないまま、すっきりしない状態で入学してきます。実習を通して得た自信が、積極的に進路を考えるきっかけになるのです。実習製品の販売もヒトデ駆除も以前から取り組んでいましたが、社会とのつながりを感じさせ、日ごろの学習を応用する場を設けることで、一歩先に踏み込ませ、考えさせることが意欲につながっていると思います」(矢野副校長)


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