特集 「自立する高校生」をどう育てるのか
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 6/11 前ページ  次ページ

■ 高校・大学生の進学動機
将来の安定を求めるために 「シグナリング効果」を追求

 高校生・大学生の志向性の変化は、進学動機にどのような影響を与えているのだろうか。図3は進学動機の経年変化を示したデータである。この10年で最も伸びているのは、「C実利(学歴)追求志向」だ。どれだけ一生懸命に勉強したのかという内実より、目に見えるものに価値を求め、私的価値を重視する青少年が増えているということを示している。

▼クリックすると拡大します
図3
*高校生のデータは、ベネッセ教育研究開発センター「高校生の自己理解と進路展望」(98年刊)、「高校生の自己概念と学習行動」(02年)、「確かな学力の育成をめぐる課題と展望」(08年5月刊)、大学生のデータはベネッセ教育研究開発センター「学生満足度と大学教育の問題点」(97年、01年、07年)により作図

 高校生・大学生が求めるのは、安定した将来なのだが、それを内実とはかけ離れた「○○大卒」や「△△資格取得」などの肩書きに求め、その「シグナリング効果」(P.4の「分析ポイント」参照)でよい就職先に恵まれると考えている。
 ところが、企業が求める人材像を考えればわかる通り、学歴や資格だけが採用の決め手になるわけではない。大学卒という学歴を手に入れたから大丈夫と信じている学生ほど、就職活動のプロセスで先行きが見えなくなり、そのギャップに苦しむことになる。こうした学生の多くは、理想の就職先に恵まれなかった場合、次の目標が見つからずに、立ちすくんでしまう可能性が強い。


  PAGE 6/11 前ページ 次ページ
目次へもどる
高等学校向けトップへ