VIEW'S REPORT 生徒指導
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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個別指導メンバー以外の生徒を手厚く支援

 A・Bメンバーに選ばれなかった生徒への支援も欠かさなかった。
 07年度の3年生は国立大を目指す理系・文系が各2、私大文系1の計5学級。上原校長は週1回、私大文系クラスで講話を続け、意識の向上を図った。また、就職希望者には、すべての教師が親身になって面接の受け方などを熱心に指導した。
 竿代(さおしろ)愛也先生は「A・Bメンバーには個別指導をしているため、授業ではむしろメンバー以外の生徒に目を向けました」と話す。齊藤奨先生も「『受験は団体戦』というフレーズを浸透させながら、メンバー以外の生徒も引っ張れるような形にしようと意識しました。メンバー選出が全体の活性化につながったと思います」と続ける。
 「『できる人はできる、私には無理』と決めてしまう生徒が、本校には多いかもしれません。そこで、Aメンバーの生徒に意識的に授業で質問させたり、問題提起をさせたりしたこともあります。良い意味で生徒をかき回すことを意図しました」(寒河江先生)
 「学校は中小企業・率先垂範」を掲げる上原校長も物理担当教師と共に、物理を苦手にしている成績中・下位層の学力底上げに立ち上がった。休日の特別課外活動を3年生を対象に21日間、計71時間にも渡って開いたのだ。もちろん、3学年全体での進路ガイダンスは何度も開いた。

新たなノウハウを吸収する若手教師たち

 同校は、家庭を持つベテラン教師が赴任しづらいという立地であり、若手教師が多く赴任する。上原校長は「本校が赴任2校目という教師が多く、ここで指導力をつけて次校に異動するというパターンが多い」と話す。
 「学力の高い生徒を伸ばさなければという思いは以前からありましたが、東京大や京都大に対応した指導のノウハウ、そして生徒の意識を引っ張り上げていく指導力がありませんでした。上原校長と2人の副校長が赴任してきて、学力の高い一部の生徒だけでなく、生徒全員と教師を巻き込み、学校全体での指導体制ができ上がりました。管理職による進路ガイダンスも、今まで経験したことがないようなものでした」(竿代先生)
 寒河江先生も「外部の研究会に参加しても、ほかの進学校の先生は指導のノウハウをなかなか話してくれません。しかし、2人の副校長は隠さず話してくれます」という。
 他県で開かれる講演会や研究会に鈴木副校長が講師依頼等を受ける際には、ほかの教師が積極的に同行した。竿代先生は「最難関大を目指す生徒とどのように向き合っていけばよいのかを勉強させてもらいました。刺激になりました」と話す。
 中田先生は自身の授業の仕方が変わってきたと話す。
 「かつては淡々と1人で授業を進めることもありましたが、校長や副校長の授業を参観する中で、生徒とのやり取りの大切さを学びました。そのためには、生徒への問いかけ方こそ工夫しなければならないと思い知らされました」


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