VIEW'S REPORT 生徒指導
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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個人の力量頼みから組織力による進路指導へ

 改革のポイントは次の3点に集約される。
 一つめは、それぞれの取り組みの理念を明確にしたことだ。例えば、進路検討会を開くとしても、なぜこのタイミングなのか、何が目的なのかを毎回明確にした。
 二つめは組織力を高めたこと。同校では教師個人の技量による指導が多かったが、それを組織で行う体制をつくっていった。
 「『もっと良い指導をしたい』という思いは、どの教師にもあるでしょう。その上で、以前は、授業も補習も各教師が自分のペースで行っていました。でも、必ずしも結果はついてきません。学校全体で動かなければ、生徒が希望する進路をかなえられないことを痛感していました」(早稲田浩太郎先生)
 以前は進路検討会に学年の半数ほどしか参加しないこともあったが、クラス担任全員が参加するようにした。教科主任会議も定例化し、担当する授業ごとに生徒の模試成績を分析した。授業の進度や内容、テストの出題などについても各教科会で意思統一を図っていった。
 三つめは、外部から進路指導のノウハウを積極的に吸収していったことだ。教師は、交代で全国の進学校を視察に訪れた。
 「わかる授業、楽しい授業は得意ですが、成績上位層の生徒を引っ張り上げて伸ばしていく授業をしたことがありませんでした。全国レベルの進路指導を経験した教師が少なく、ノウハウがなかったのです。私自身、当初はなぜ指導方法を変えなければならないのか、どんなに話を聞いても納得できませんでした。しかし、全国区で実績を出している進学校の指導を視察する中で、いかに自分はまわりが見えていなかったか、競争に弱い状態のままだったかがわかりました」(三谷先生)
 瀬尾先生も、「他校への視察によって、自分たちの指導がまだまだ不十分だということがわかり、謙虚になった教師が多かったと思います」と語る。「井の中の蛙ではよくない」という意識が学校全体に広がっていった。


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