VIEW'S REPORT 生徒指導
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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合意形成を待たずに次々と新たな手を打つ

 この2年間、数え上げたら切りがないほど新しいことを取り入れてきた三次高校。三谷先生は「教師全員の合意を得てから動こうとすると、膨大な時間がかかってしまいます。とにかく思いついたことは積極的に取り入れていきました」と話す。
 例えば、06年度に2年生を対象に始めたのが、部活動後の午後6時から9時まで自習する「ナイトゼミナール」と、部活動前に自習する「水曜ゼミナール」だ。「難関大を目指す生徒や一生懸命勉強している生徒に学習リーダーになってほしい」(溝口先生)との考えから、教師が参加を呼びかけた生徒や希望者がナイトゼミには約70名、水曜ゼミには約50名が参加した。ゼミでは、私語・飲食禁止という基本的な学習姿勢を徹底させた。
 日々の家庭学習時間の定着や生活実態を把握する目的で始めた「家庭学習がんばるノート」を、夏休みには部活動の顧問がチェックするなど学校全体で取り組んだ。
 「一般的に、生徒は3年生になるとある程度、自学自習の仕方がわかるようになります。ところが、本校には塾に通っていない生徒が多く、自分一人だけで受験勉強をするのは難しい面がありました」(溝口先生)
 そこで、補習の仕方を大きく変えた。以前はどんな補習を行うかは個々の教師に任され、生徒の出席人数にかかわらず多くの補習が開かれていた。こうした無駄を省くため、各教科会や教科間で連携を図り、教科ごとのカリキュラムを組み、同じ教科であればどの先生の補習を受けても進度が同じになるようにした。
 成績上位層への働きかけも強化した。難関国立大受験に向けて意識を高めていくため、難関大に合格する可能性を持つ生徒に対し、2年次の秋から面談を実施。難関大受験に対して消極的な生徒には、国立大の魅力や研究内容、経済的な優位性などを伝えた。模試の結果分析に基づいて、教科担任が面談を行うようにもした。
 「『どうしてあの子たちだけ特別なの?』という思いをほかの生徒にさせてしまっては失敗です。成績の上位・下位を問わず、模試の成績が大きく落ち込んだ生徒にこそ、丁寧な面談を心がけるようにしました」(溝口先生)  3年次には、難関大志望者だけでなく、ほかの進学志望の生徒も対象として、主に個別学力試験対策の個別指導を行った。担当には、3学年の教師だけでなく、1、2学年の教師も加わった。


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