特集 「自立する高校生」をどう育てるのか
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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「チューター制」で2、3年生が1年生をサポート

 4本柱の土台になるのは「人間教育」だ。特に、1年生は挨拶励行や時間厳守、身だしなみなどを徹底し、社会の構成員としての規範意識を徹底的に体に染みこませるところから始まる。2学年主任の米村親直先生は、次のように述べる。
 「社会に奉仕・貢献することを自己実現と考えられる高い志を持たせることが、生徒指導のねらいです。そのための第一歩が、規範意識の醸成です。1年生のうちに生活指導を徹底することで、落ち着いて学習に取り組める雰囲気が生まれ、2年生以降、教科指導や進路指導に集中できるようになるのです」
 教師が徹底的に手をかける指導から、生徒が主体的に自己の役割を見いだすようになるのは2年生以降だ。その最たる取り組みは、2、3年生がチューターとして新入生をサポートする「チューター制」である。4人の新入生に対して、2人のチューターが付き、入学前から1年生の夏休み前までの半年間、生活面・学習面でさまざまなアドバイスをする。
図2
 教務主任の藤原達夫先生は「チューターを通して望ましい『東高生像』に触れることで、新入生は目指すべき姿をイメージできます。チューター自身にとっても、理想の姿になりえているかどうか自分の在り方を省みる機会にもなっています」と話す。
 入学前から夏休み前まで8回に渡って行われる「チュータリング」が、新入生とチューターとの交流の場だ。日々の家庭学習や学級役員・週番の任務、模試、学園祭など、生活指導から教科学習、学校行事まで、新入生の進捗状況や疑問をチューターが聞き取り、アドバイスを加えていく。
 チューターは主に立候補によって決まるが、適任ではないと教師が判断したときは、生徒の希望を却下することもあるという。3学年主任の竹歳(たけとし)真一先生は次のように述べる。
 「多少、不安であっても生徒の希望を受け入れてチューターに選出することもあります。そういう生徒が何か問題を起こして指導を受けたとき、私は『君は担任の先生の顔に泥を塗るのか』と面と向かって言います。そういうやりとりを通して、生徒は自分の生活を振り返り、責任を自覚するようになるのです」

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