特集 つなぐ教師の教科指導力
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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模試分析の結果を授業改善に生かす

 授業改善を進める上で、模試分析の果たす役割は大きい。
 「模試分析を通して、生徒がどれだけの水準に到達しているのか、教える内容は不足していなかったかなどの判断材料を得ることができます。自分の授業を冷静に客観的に振り返ることができ、それが授業改善に役立つのだと思います」(木嶋先生)
 以前は担当する生徒の答案を軽くチェックする程度だったが、今では担当学年の生徒全員の解答をくまなくチェックする。その結果、かつては見えてこなかった生徒の課題が明らかになった。2年生英語担当の山本純子先生は、次のように話す。
 「実際に生徒の模試の解答をじっくり見ることによって、厳しい現実が改めて浮かび上がってきます。単語・構文・文法に関して基本事項の定着が図れていないばかりか、長文問題では白紙の答案もあり、愕然とすることもあります。このような生徒の現状を踏まえ、授業では模試分析レポートで取り上げた内容を必ず復習させるように心がけ、問題を地道に繰り返し、量をこなすように徹底しています」
 地理担当の岡山哲也先生は、模試の教師用資料に掲載されている「正答率」と「誤答パターン」に注目している。
 「世界で最も観光客の多い国といえばフランスです。しかし、その模試では、観光客数ではなく観光支出の多い国を答える問題でした。正解はアメリカなのですが、半数以上の生徒が読み違えていました。これには、私自身の指導に問題があるはずです。同じ観光というキーワードに対しても、多面的に見るべきであるということを、きちんと伝える必要があると感じました」
 得点の低かった分野は、課外授業に組み込んだり、週末課題に類題を盛り込んだりして、意識的に復習させる。場合によっては、年度末までの目標を設定し、授業の進度や内容を変えることもある。例えば国語では、生徒が空欄にしがちな記述設問を半年後に埋めさせるために、教科書教材の中で全クラス共通の記述設問をあらかじめ設定。問題の考え方や解法を授業で説明して練習をさせた上で、定期考査に60〜80字の記述設問を必ず組み込むという指導を行った。その結果、模試での空欄がほぼなくなった。

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