ベネッセ独自の調査・研究に基づく教育情報を発信。学校向け情報誌に掲載している教育動向や学校の実践事例、子どもや教育に関連したさまざまな調査の報告書、調査データなどを公開しています。
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2009年10月号
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私を育てたあの時代、あの出会い
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先輩教師の言葉
授業は真剣勝負
その積み重ねが 生徒と学校を変える
愛媛県立上浮穴(かみうけな)高校教頭
大内洋一郎
私が今治西高校に赴任したのは38歳の時。確かに地域ではトップの高校だけれども、もっと上を目指せるはず。そう感じました。生徒と教師の間にあった「自分たちは、このくらいのレベルだろう」という意識を変えたかったんです。いくら優秀な進学校の生徒でも、手を掛けなければ伸びないし、手を掛けた分だけ確実に伸びます。私は、それまでの生徒任せの校風を変えるために、まず遅刻欠席指導から始めました。理由もなく学校を休まない、毎日家庭で勉強する。そういう当たり前のことから始めた学年が、東京大、京都大の合格者数の記録を塗り替えたのです。
矢野先生の授業はとにかく実験が豊富。進学校であれだけ理科の実験をして、入試でも実績を上げるのはすごいと思います。理系の生徒は実験が好きですから、生徒に理科を好きになってもらいたいという気持ちを感じました。当時、「理系の今西」と呼ばれたその礎をつくってくれた一人です。
今、若い先生を見て感じることは、入試の過去問題や模試の問題をもっと解いてほしいということです。生徒が模試を受けた翌日に、模試の問題を使って授業するのは当時では当たり前でした。問題を解く時に、「あの生徒ならここまでは理解できるはず」と生徒の顔を思い浮かべながら解いてみる。同様に、入試の知識ももっと身に付けてほしい。そして入試科目や配点を見る時も、「この入試で一番力を発揮できそうな生徒は誰だろう」と考えながら見ていく。いつも生徒の顔を思い浮かべてみることが大切だと思います。
私と同じように、矢野先生は「生徒に自分の担当教科を嫌いにさせない」ことを課していました。教師としての信頼は、授業でこそ得られるもの。だから教師にとって一番大切なのはやはり授業です。矢野先生のように、苦しいことから逃げずに、1時間1時間の授業で生徒と真剣勝負をする教師が集まれば、学校は変わるのです。
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