特集)自立を支える「学校」と「家庭」の連携
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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生徒の力を最大限に伸ばす 組織力の向上が課題

 保護者と共に、教師の意識が変わってきたことも大きな変化だ。かつては、「勉強は生徒自身がするもので、教師が手取り足取り指導するものではない」という意識の教師が多かった。そうした教師は、ここ5年ほどで少なくなり、生徒の自立に向けて学校が積極的に手を掛けるべき、という意識が浸透しつつあるという。保護者への進路勉強会をはじめとして、学校を挙げて進路行事に力を入れてきた中で、「今の生徒は手を掛けなければ自立しにくい」という認識に共感する教師が増えたようだ。
 同校には素直な生徒が多く、教師は指導しやすい半面、高校生活に満足している生徒の姿を見て、「今のままで十分ではないか」と考えてしまいがちである。転任者の研修を徹底するなど、教師の意識改革を進めているが、危機意識を共有するまでには至っていないという。
 「進路実績は出ていて、部活動は活発。生徒は学校生活を楽しんでおり、すべてがうまくいっているように見えます。しかし、そこに落とし穴があるのです。生徒は『伝統校だから』という理由で本校を選んでいるわけではありません。通学圏内にあり、進路希望に合う学校だった、という理由だったのかもしれません。進学実績が現状以下に落ち込めば、保護者の意識はとたんに他の公立進学校や私学へと移っていく危険性が常に存在するのです。『やはり、生徒一人ひとりをよく理解し、能力を最大限に引き出してくれるのは、川女ですね』と言われるくらいにならなければ、本校の未来はないと考えています」(伊藤先生)

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