特集)自立を支える「学校」と「家庭」の連携
天尾昇一

▲山口県立下関西高校

天尾昇一

Amao Shoichi
教職歴24年。同校に赴任して13年目。進路指導部部長。「生徒の夢が実現できる進路指導を目指したい」

長祥子

▲山口県立下関西高校

長祥子

Cho Sachiko
教職歴25年。同校に赴任して11年目。1学年主任。「正直に生きていける生徒を育てたい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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3年1学期の面談までに 8割以上の生徒の志望校決定

 進路検討会は、単に志望校を絞り込み、合格可能性を検討する場ではない。1学年主任の長(ちょう)祥(さち)子先生は、進路検討会の位置付けを次のように説明する。
 「学力や適性、将来の夢など、一人ひとりの生徒の現状を把握した上で、『この生徒は実力があるのだから、東京大や京都大も狙える』『医師志望だが、適性を考えれば研究職の方が向いているのではないか』など、教師皆で意見を出し合います。10年後、20年後の生徒の将来を見据えて、そのために今、何が必要かを考えるのです」
 1年次の指導は、高い志を育むことが中心となる。目標が実力より多少高くても、志望を下げるのではなく、「数学は1日2時間、家で勉強しよう」など、具体的な目標を決めて頑張らせる。また、大学を選ぶのは自分自身であることを生徒に繰り返し訴え、将来を考える意識を育てることも1年次の重要な指導だ。
 2年次は、目標を持って着実に頑張る生徒と、目標が定まらず成績が伸び悩む生徒に二極化してくる時期だ。頑張っている生徒には、それを後押しするように働き掛ける。例えば、成績上位層の生徒を学年の先導役となるように声掛けをしたり、逆に伸び悩んでいる生徒に対しては、教科担当に最適な学習法や参考書などを聞き、その内容を基に面談で助言したりしている。
 進路検討会で合格判定を検討するのは、3年生の12月以降。1年次からの積み重ねによって、3年生1学期の面談までに、8割以上の生徒は志望校が決まる。2、3学期の進路検討会では模試の成績などを基に、出願校を確定する。進路検討会と教師集団による多面的なアドバイス、担任との複数回の面談を通して、生徒は自分自身を客観的に見られるようになる。
 「以前は、3年生後半になっても、教師のアドバイスを受け入れず、思い入れだけで志望校を決めていた生徒もいました。今は1、2年生からの面談を通して、生徒に何度も将来を考えさせるため、3年生の時点で志望がぶれる生徒はほとんどいません」(天尾先生)

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