特集)学力下位層の拡大にどう向き合うか
鈴木和人

▲秋田県立横手高校

鈴木和人

Suzuki Kazuhito
教職歴24年。同校に赴任して7年目。進路指導主事。「大きな夢を持ち、かつ謙虚な生徒を育てたい」

土田一人

▲秋田県立横手高校

土田一人

Tsuchida Kazuto
教職歴20年。同校に赴任して7年目。1学年主任。「最後まであきらめないでやり通す生徒を育てたい」

加納 勇

▲秋田県立横手高校

加納 勇

Kano Isamu
教職歴22年。同校に赴任して4年目。2学年主任。「生徒一人ひとりの志望を実現できるよう努力したい」

本田嘉之

▲秋田県立横手高校

本田嘉之

Honda Yoshiyuki
教職歴19年。同校に赴任して5年目。3学年主任。「単に従順でなく、素直で正直な生徒であってほしい」

小原真紀子

▲秋田県立横手高校

小原真紀子

Obara Makiko
教職歴27年。同校に赴任して7年目。前3学年主任。特活主任。「教育はパッション。受験は団体戦」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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習熟度別授業でライバル意識を持たせる

 学力層の変化に対応するため、従来の授業を見直し、学力層に応じた指導に転換した。その一つが7年前に始めた「講座制」の見直しだ。2、3年生を対象に、特定科目について2〜3クラスを3〜4クラスに再編し、複数の講座から生徒が自由に選ぶシステムだ。対象科目は、国語は現代文、数学は数学U、英語はライティング。学力の差が広がりやすい科目を選んだ。各科目とも進度や定期考査の内容は全クラス共通だ。2、3年次の年度当初に、講座ごとの授業内容を記した「指導・評価計画」()を生徒に示し、講座担当の教師が「アピール授業」を行う。生徒は自分に合うと思った教師の授業を選ぶ。授業を前期の半年間受けた後、後期で再び希望を取る。
 もともと、生徒の選択の幅を広げると共に、教師の指導力を向上させることも狙いとしていた「講座制」に、4年前から習熟度別授業の要素を取り入れた。4クラス展開なら、1クラスは成績上位層向け、残り3クラスは成績中下位層向け、3クラス展開なら1クラスは成績上位層、2クラスは成績中下位層向けという具合である。2学年主任の加納勇先生はその意義を次のように述べる。
 「1クラスが二十数人となるので、生徒一人ひとりに目が届くのが最大の利点です。予習・復習の状況や内容をどの程度理解しているのかを詳細に把握しやすいので、生徒の学力に合った指導ができるようになりました。特に成績上位層に対しては、難易度の高い問題を取り入れたり、国公立大の個別学力試験の問題を解かせたりして、知的好奇心を喚起するよう心掛けています」
 習熟度別授業によって成績上位層と成績中下位層のクラスが分かれるため、中下位層の生徒には上位層に勝ちたいという意識が働く。逆に、上位層の生徒には中下位層の生徒には負けられないという意識が芽生え、良い意味で切磋琢磨する雰囲気が生まれるという。
 教師にとっても、生徒に選ばれることで意欲を刺激される上、半期に一度、希望を取り直すため、生徒を更に引き付ける授業をしようという意識が強くなる。生徒・教師双方に緊張感が生まれ、意欲向上にも結び付いている様子がうかがえる。
図:講座の指導・評価計画/2年生現代文(抜粋)

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