指導変革の軌跡 茨城県立竜ヶ崎第一高校「指導の継承」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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「筑波大を目指す学校」を掲げ指導の軸を明確にする

 「Rプログラム」による、3年間の指導の体系化・明文化と並行し、中長期的な視点から学校全体の方向性を模索する改革も動き始めた。09年4月に始動した「竜一プロジェクト2010」だ。「筑波大に現役合格できる学力の育成」を指導の中心に据え、3年間を見通した教科指導の確立を目指す。教務主任の倉持正男先生は、全学的なプロジェクトの狙いを次のように話す。
 「生徒の学力や立地から考えても、筑波大は、目標として掲げたい大学の一つです。生徒の進学希望も多く、1年生の進路希望調査では半数以上が筑波大を第1志望に挙げます。しかし、実際に受験して合格する生徒は十数人です。成績が中・上位層の生徒を筑波大に現役で合格させられる授業や教材、定期考査などを本校のスタンダードとして確立し、安定的な進路実績を上げたいと考えています」
 目標は筑波大現役合格20人だ。他大学を目指す生徒も多いが、それでも目標を筑波大に絞ったのは、教師の足並みをそろえるための象徴的な意味合いがあると、倉持先生は話す。
 「本校は早慶上智、MARCH()などの私立大への進学者も多くいます。そのため、指導の照準を筑波大にするのか、合格者の数を減らしてでも東京大や一橋大を目指すのか、難関私立大や地元の茨城大に多数合格させるのか、絞り切れずにいました。筑波大を目標に掲げることによって、方向性が明確になり、教師の目線合わせが容易になります。今後、赴任してくる教師も相応の心構えが持てると考えました。『本校の教壇に立った教師は、筑波大のエキスパートになれる』と言われるような学校にしたいと考えています
「竜一プロジェクト2010」として指導方針や取り組みを明確にすることで、地域へのアピール材料とすることも狙いの一つだ。
 「改革前には、地域の方から『竜一は何の指導もしていない』としばしば言われていました。しかし、渡辺先生の学年のように、果敢に改革に挑んでいる教師も大勢います。本校の取り組みを目に見える形にするためにも、筑波大を目標に掲げたプロジェクトを遂行する意味があるのです」(倉持先生)
*MARCHは、明治大(M)、青山学院大(A)、立教大(R)、中央大(C)、法政大(H)を示す

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