座談会 中学校内容の「学び直し」の課題と実践─英語を中心として─
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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教科指導は団体競技学校全体で相乗効果を

谷口 お二人の先生の授業スタイルは一見異なっているように見えますが、膨大な、しかも正しい例文や知識をインプットした上で、アウトプットを徹底する点では共通点があるように感じました。2013年にスタートする新しい学習指導要領では、情報や考え方を「的確」に理解したり、「適切」に伝えたりするという面が強調されています。正しい英文の習得を目指す先生方のご実践は、新学習指導要領の理念にも通じるものといえるでしょう。
 では、最後に、学校で「学び直し」を実践する場合、取り組みを進めるためにはどのようなことがポイントになってくるのかということについて考えていきたいと思います。取り組みを進める中で、現在課題に感じておられることは何でしょうか。
小林 現在「5つの小箱」は、学校設定科目で実施していますが、これは私が学年主任だから出来たことかもしれません。実践を充実したものにするためには、異動があっても、途中で中断されないように3年間を見通した計画性のあるものにしていかなければならないと思います。「5つの小箱」は、教師個人の力量による指導内容の差を小さくし、標準的な「学び直し」ができる方法として取り組む価値があると思います。
谷口 学校設定科目の活用については、新学習指導要領でも明記されていますが、他の教科との兼ね合いもあり十分な時間が取れるとは限りません。理想的には、学校全体で生徒の課題、「学び直し」に対する認識や方法論を共有し、同じ生徒に対して3年間を見通した指導ができる体制をつくることが望ましいですね。
前田 進学校であれば、進学実績の向上で足並みをそろえ、教育困難校であれば、生徒を席に着かせるという課題の解決に向けて一致団結出来るでしょう。難しいのは、学力層の幅の広い学校です。そのような場面では、個々の先生方が地道に取り組みを継続し実績を上げることで、他の先生に「自分もまねをしてみよう」と思ってもらうことから、変革が始まっていくのだと思います。
谷口 「授業の内容がわからないのは、勉強しない生徒が悪い」では、学校の存在意義がなくなります。これからは学校として、わかってもらうための努力をしているのかということが問われてきます。どのような取り組みであっても、学校全体で取り組むことで相乗効果は高まります。教科指導は教科担当だけによる個人競技ではなく、団体競技であるということを、我々はもっと認識しないといけないのかもしれません。本日はありがとうございました。
谷口勝彦 小林眞人 前田健次

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