地方公立高校の挑戦
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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八校連で合同学習会を開き生徒同士が刺激し合う

 09年8月の連絡会で、事務局を務める村上先生は、先進的に学校間連携を進める他県の高校教師による講演会を企画・開催した。
 この講演会を聴いた吉田先生は「八校連でも情報交換にとどまらず、何かやらねば」と、すかさず動いた。2年生の合同学習会を企画し、八校連の各校に参加を呼び掛けたのだ。題して「8校合同学習会〜Pleasure in Study〜」。年度途中で八校連主催の事業を立ち上げるのは困難だったため、阿蘇高校主催で11月に開いた。吉田先生は、「本校の2年生の学習意欲が例年になく低かったため、本校の生徒に刺激を与えようと企画しました。好評だったら、次年度からは八校連の事業にしようと考えました」と打ち明ける。
 内容は、予備校講師による国数英の授業と外部講師による講演だ。7校から計約150人の2年生が集まった。席順は、高校別にまとめずに、全員の名前の五十音順にした。
 「こんな参考書を持っているんだ」
 高森高校の生徒は、隣に座った他校の生徒の机に置かれた参考書を横目で見て、自分のものとは全く違うことに気付いたという。高森高校の2年生は33人で、四年制大進学希望は3人。阿蘇山南麓に位置する高森高校の生徒が学校帰りに通える予備校は周囲にない。
 村上先生は、「部活動の練習試合と同じように、他校の生徒の姿を見て学ぶことがあります。周りに入試に向けて切磋琢磨し合う仲間が少ない本校の生徒にとっては、良い刺激になりました」と話す。
 合同学習会に参加した生徒にアンケートを取ったところ、90%以上が「やる気が高まった」と答えた。阿蘇高校の生徒からは「せっかく集まったので、もっと生徒同士で交流する機会が欲しかった」との声が上がったという。各校の生徒がそれぞれの立場で刺激を受けたようだ。
 「他校生と机を並べることによる『生徒の変化』は、多くの先生が実感していて、10年度は八校連主催での実施が見込まれています」(吉田先生)
 例年、1月の大学入試センター試験の2日目には、八校連のうち4校で「大学入試センター試験リアルチャレンジ」を開いている。これは、センター試験の実際の国数英の問題に時間差で2年生が挑戦する企画だ。これまでは県の地域進学重点校に指定されている阿蘇高校が主導していたが、10年度のセンター試験からは八校連主催に切り替え、八校連全体に枠を拡大して行った。


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