地方公立高校の挑戦
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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足りないところを補い合う緩やかな連携を目指す

 郡部の学力の高い中学生が都市部の進学校に流出するのは、熊本県も例外ではない。郡部の過疎化や少子化といった社会的な課題は学校教育を超えたものだ。
 だが、鬼塚先生は「それでも現状を受け止め、生徒の進路目標を達成できる学校づくりをしていかなければなりません。各校が足りないところを補い合い、それぞれの持ち場で得意分野を生かしつつ支え合っていくことが大切です」と強調する。
 熊本県は10年度から、現行の8学区制から3学区制に移行する。中学生の進学動向がどのように変わるのか、各校の危機感は強い。
 村上先生は、1年間の八校連の事務局期間を2年間にすることを提案する予定だ。そうなれば、高森高校が09年度に続いて10年度も事務局を務めることになる。「任期が1年では、運営業務に追われて終わってしまうのが現実です。当初はどうすればよいか試行錯誤の連続でしたが、これまでの経験を生かして、2年目は8校の現状やニーズを踏まえながら発展的な活動をしたいと思います」と話す。
 吉田先生は八校連のメーリングリストを作った。学校訪問や各校の取り組みなどの日常的な共有化を図るためだ。既に、他校訪問の情報を伝えた吉田先生は、「公開できるものは公開し、互いにWin―Winの関係をつくりたいと考えました。あまり強制するような形にするよりも、『緩やかな連携』とするのが長続きする秘訣(ひけつ)だと思います。教育の世界は失敗が許されない面がありますが、かといって怖がっていたら何も始まりません。まずは取り組んでみて、問題が出てきたらそれに合わせて変えればよいのです」と前向きだ。
 鬼塚先生も、「今は、各校が情報を積極的に発信する時代だと思います。特に郡部にある学校間では、模試の結果で競争をするのではなく、地域全体の教育力向上が課題です。だからこそ、お互いに協力出来ることがあるのだと思います」と語る。
 村上先生曰く「なぜか生命力だけはある不思議な会」である八校連――。約40年間続いてきた八校連の存在意義を問い直す、試行錯誤はまだ始まったばかりだ。


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