放課後の生活時間調査

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第1部 学年別や性別にみる生活時間と意識/第2章 自由時間の使い方にみる男女の違い
2.自由時間の活動

2−2 自由時間活動からみた男女の違い

それでは、先にあげた14の活動のそれぞれについて、ふだんの日にどれだけの時間を使っているかを、学校段階別・性別にみてみよう。

表2−2に学校段階別・性別の自由時間活動の平均時間を示した。まず学校段階別にみると、1)どの学校段階でも自由時間活動のうちテレビやDVDを見る時間(以下、「テレビ」)がもっとも長い、2)学校の宿題以外の勉強をする時間(以下、「宿題以外の勉強時間」)は中学生がもっとも長い、3)携帯電話を使う時間(以下、「携帯電話」)と音楽を聴く時間(以下、「音楽」)は学校段階が上がるにつれて長くなる、4)外で遊ぶ・スポーツをする時間(以下、「外遊び」)は学校段階が上がるにつれて短くなる、という特徴が浮かび上がってくる。中学生の勉強時間が長いのは高校受験の影響であろうか。テレビの時間は高校生男子を除いていずれも100分を超える。テレビの時間について、もう少し詳しくみると、自由時間活動の合計のうちテレビの時間が占める比率は、図2−1、表2−2の値より算出すると、男女とも、小学生で30%、中学生で25%、高校生で20%前後となっている。

冒頭でふれた矢野(1995)によると、1990年代における日本人(成人)の平日の自由時間に占めるテレビの時間の比率は40%にのぼっていた。近年、大人についてはテレビ離れの傾向が指摘されているが、その多くはテレビからパソコンへのシフトのためであるといわれている。テレビを見るにしてもDVDを見るにしても、あるいはパソコンであっても、何らかのモニター(受信機)の前にいることには変わりはない。その意味ではモニターの前の時間は、むしろ増加しているかもしれない。

表2−2からも明らかであるが、子どもたちも大人と同様に、モニターの前にいる時間が長いことには変わりはない。自由時間に占めるテレビの時間の比率は大人と比較するとやや低いが、これは子どもたちの自由時間が大人よりも長いためであり、仕事や家事に多くの時間を費やすようになれば、その比率が上昇することが予想される。

表2-2:自由時間活動にあてる時間(1日あたりの平均時間、学校段階別・性別)

また、中・高校生では携帯電話を使う時間と音楽を聴く時間がきわめて長い。この2つの活動の合計時間をみると、小学生男子7分、女子19分にとどまっているのに対して、中学生男子48分、女子76分、高校生男子101分、女子152分となっている。高校生では、この2つの活動の合計時間がテレビの時間よりも長い。高校生の放課後は、1時間半前後のテレビの時間に加えて、男子で1時間半強の携帯電話と音楽、女子で2時間半の携帯電話と音楽で占められていることになる。

テレビ・携帯電話・音楽は、2つの意味で能動的というよりも受動的である。1つは、その活動に積極的に向かう必要がなく、なかばぼんやりしたままでも行うことが可能な活動であるという意味での受動性である。もう1つは、友人関係を維持する、あるいは話題についていくために必要な活動であるという意味での受動性である。話題のテレビ番組は見ておかなくてはならないし、流行の音楽は聴いておかなければならない。友人関係を壊したくなければ携帯電話でのメールのやりとりも無視することはできないだろう。

テレビ・携帯電話・音楽の時間に圧迫されていると考えれば、勉強時間が短いことは当然であるのかもしれない。学校の宿題をする時間(以下、「宿題」)と宿題以外の勉強時間を合計しても平均が100分を超えるのは中学生の女子のみである。小学生は男子66分、女子76分、中学生は男子91分、女子101分、高校生は男子73分、女子80分となっている。女子のほうがやや長いが、自由時間の合計と比較すればその差は小さい。

どの学校段階でも女子は男子よりも、テレビゲームや携帯ゲーム機で遊ぶ時間(以下、「ゲーム」)・外遊び・新聞を読む時間(以下、「新聞」)の平均時間が短く、テレビ・携帯電話・音楽・宿題・宿題以外の勉強時間の平均時間が長いことがわかる。先にふれたように、とくに携帯電話の時間は学校段階が上がるとともに男女差が大きくなっており、小学生では5分の違いであるのに対して、中学生16分、高校生39分の男女差となっている。

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