つながる「保護者」と「学校」
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 15/21 前ページ 次ページ

読み聞かせや掃除に保護者が参加

 教育熱心な保護者の協力を積極的に受け入れた取り組みも特徴的だ。
  前川校長が学校便りで読書の大切さを発信したところ、数人の保護者から「子どもに読み聞かせをしたい」という申し出があった。そこで、保護者にお願いすると共に、追加でボランティアを募集し、05年度から低・中学年を中心に2週間に1回のペースで保護者による読み聞かせを始めた。当初、保護者が学校に入ることに抵抗感を持つ教師もいたが、子どもの間に読書への関心が高まるなど効果が見られたことから、今では教師以外の大人が子どもに接するメリットを実感しているという。
  また、06年度から始めた学期に1回、保護者と子どもが一緒に校内を掃除する取り組みは、「ほうきの持ち方や雑巾(ぞうきん)の絞り方など、掃除の基本が身についていない」と感じた保護者の発案がきっかけだ。当初は保護者のみで掃除をしていたが、「子どもと一緒にしたい」という保護者の声があり、現在の形となった。「学校で掃除の仕方をきちんと教え、家での躾に生かしたい」という保護者もいた。
  「教師と保護者が協力する教育効果の高さを実感します。更に、教師が自分の教室をオープンにすることに抵抗感がなくなったことも大きな変化でしょう」(前川校長)
  保護者との関係を良好に保つために、問題が起きそうなケースには事前策を練っていることにも注目したい。以前、不審者の情報が寄せられたとき、学校から遠い場所だったため、通常通りに下校をさせた。ところが、その場所に近い隣の小学校では集団下校をさせたことから、保護者から「どうして集団下校をさせなかったのか」という指摘があった。以来、「学校間の対応に大きな差があるとトラブルの原因になる」と考え、近隣の学校間で情報交換を密にするようにしている。
  また、ここ数年、岩園小学校では若い教師が増えているが、担任が若いと不安に思う保護者もいる。そこで、学校便りなどで「若い教師は子どもと年齢が近い分、感性の量的質的な共有ができる」とメリットを伝え、若手教師の保護者対策には校長が支援する体制を整えている。
  「これらの取り組みはいずれも特別なものではありません」と前川校長は言う。ときには厳しい意見を寄せる保護者とも、決して距離を置かず真摯に対応する。それが良好な関係づくりに大きな効果を上げることを、岩園小学校の実践は物語っている。
まとめ
アンケートなどを活用して、保護者一人ひとりの声に耳を傾ける
保護者の力が必要な活動を積極的に取り入れ、学校をオープンにする

   PAGE 15/21 前ページ 次ページ
目次へもどる
小学校向けトップへ