教育現場の挑戦 子どもの「考える力」を呼び起こす「教えて考えさせる授業」の実践

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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気づきを深める子ども同士の学び合い

 07年度からは「気づき」の大切さを重視する。
  「『わかった』『そうか』『おかしいな』などの気づきを、私たちは『価値ある気づき』と呼んでいます。授業設計では、何が価値ある気づきなのかを見極めることに最も時間をかけ、授業で、それを子どもに教えてしまわないように特に注意しています」(副島先生)
  授業を通じ、教え、考えさせ、気づかせる。更にその気づきを、深め、広げるために重視するのが、子ども同士の学び合いだ。07年度は、研究テーマのサブタイトルを「共に高め合う」とした。低学年はペア学習、中学年はグループで司会や記録に分かれての話し合い、高学年は学級全体での討議なども取り入れている。そのメリットには、自分の理解度を確認できる、わからないときに相談ができる、相手への説明を通して自分の考えが整理されてまとまっていく、教える側・教えられる側、あるときは立場を交換して学び合える、などがある。
  「気づきを深めるには、1人の力では限界があります。自分とは違う考えがあることを知り、共感し、ときに反発する中で深められると思うのです」(松本校長)
  そうした気づきを積み重ねることで、授業中、「この場合はどうなのだろう」と、自分で問いかけられるようになる。実際、低学年が自分の意見や気づきを口にすることが、以前よりも多くなったという。
  「そういう思考は、学校の外に出れば自分の生き方を切り開いていく力になる。自己教育力と言ってもよいでしょう」(松本校長)
  対人関係に支えられた学びによって、子どもは「自分さえわかればよいわけではない」「できるようになったのは、友だちのおかげ」という思いを持ち、次第に、「わかる」とはクラス全員でつくり上げることだ、と考えるようになる。「それは『人間関係力』として学びの意欲の源にもなります」と、永池先生は話す。

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