教育現場の挑戦 子どもの「考える力」を呼び起こす「教えて考えさせる授業」の実践

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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教師にも根付く高め合う関係性

 本町小学校の取り組みは教師同士が高め合う関係に支えられている。
  1人年間4、5回は研究授業を行い、毎回、部会ごとに事後研修を行っている。各部会の検討内容は模造紙にまとめられ、全体会で発表し、全員が共有する。
  教室の廊下側に壁のないオープンスペースの環境も(写真1)、板書や掲示をはじめとした指導法の共有に役立っている。「教師それぞれに得意不得意があります。互いの授業を見て、良いところを取り入れるようにしています」と、松本校長は言う。
  また、授業案は、1人の教師がつくるのではなく、学年で1本とした。学年団の教師が手分けをする中で、専門性を生かせ、更に一つの授業についてそれぞれ案を持ち寄って共有する過程で、情報交換もできる。日常的に助言をし合い、課題にも共に取り組む関係が生まれている。
  05年度からは生活指導の方針を全学年統一とした。どの教師も同じ基準で注意したり褒めたりするようになってから、子どもは担任以外の教師の言葉も素直に聞くようになったという。
  今は単元ごとに研究を進め、成果や課題を蓄積している段階だ。それらを整理し、6年間のカリキュラムとして体系化しようとしている。
  一方、子どもの力に課題を感じている部分もある。「子ども同士が学び合うといっても、その活動はまだ教師主導の面があります。子ども同士の学びをもっと深めることで得られる効果は大きいはず」と永池先生は期待を込める。
  随所に高め合う関係を構築している本町小学校のこれからの実践が楽しみだ。
写真1
写真1 オープンスペースでの授業の様子。教師は、自然に互いのクラスの状況や授業を見合うようになり、情報交換やアドバイスをし合うようになる

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