学びが深まるICT活用 町内7校の児童がつながる、ICTを活用した登山事後学習
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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交流の楽しさを通してコミュニケーション力を育む

  5月の宿泊訓練終了後に、各校は「総合的な学習の時間」を使って、月1、2回の事後学習を行ってきた。
  まず、従来は手書きだった感想文や反省文を、今回はスクールイントラパックの掲示板機能のあるコーナーに3、4時間かけて入力した。感想文には児童自身が選んだ写真も貼り付けた。
  次に、スクールイントラパックの「情報モラルナビ」で電子掲示板のマナーについて学習した。学校間はイントラネットでつながっているため、他校の児童が書いた感想文を読むことができる。そこで、気になった感想文に対して、コメントを書き込むように呼びかけた。最初は、言葉を交わしたことのない相手に対して、どうコメントを書けばよいのかわからないという様子だったが、少しずつ要領を得ていったという。
  これらの事後学習に、子どもたちは高い関心を見せた。自分の書いた感想文に対して、自分の知らないだれかが応えてくれることが嬉しいという。同じ保育園に通っていた子や、町のスポーツクラブのチームメイトとネットワーク上で再会できるという体験も新鮮だったようだ。また、4校合同で訓練に参加した、多胡、入野、馬庭、南陽台の各小学校の児童は、登山前にICTの授業で名刺を作成し、当日持参して初対面の他校生と交換した。事後学習では、その名刺を交換した人の感想文を読んで、コメントを書く子どもも多かった。
  一連の交流学習のねらいは、子どもが共通に体験した宿泊訓練のまとめを通して、学校間の交流を促進してコミュニケーション能力を育み、中学進学後の新しい人間関係への戸惑いを解消することだ。吉井小学校の田中勝先生は、「本校は単独で宿泊訓練を行ったので、事後学習での他校の児童とのやりとりには高い効果が見られました。子どもたちは、次の授業でスクールイントラパックを開いたときに他校の児童から届くコメントを楽しみにしていました」と評価する。
  「『コメントをもらうと嬉しい』という経験を積み重ねることが、コミュニケーション能力を養うことにつながる」(南陽台小学校・藤巻学先生)というように、今後も続けることで子どもの変化に期待する声も多かった。
  また、感想文の作成は、ローマ字の学習も兼ね、ローマ字入力を使うように指導したが、通常の方法で行うローマ字学習よりも効率よく進められているようだ。
  「ローマ字をただの記号の組み合わせとして機械的に暗記するのではなく、自分の伝えたいことを書く手段として、使いながら覚えられるというのは、学習の動機付けとして効果的だと感じました」(入野小学校・佐藤亜希先生)
  入力は個人作業なので、ほかの子どもとの力の差を意識せず、各自のペースで学習を進められる点を評価する声もあった。
  「感想文をどんどん閲覧して、いくつもコメントを書き込んでいく子どももいれば、じっくり読んでコメントを書く子どももいました。自分のペースで進められることで、その子なりの達成感を味わえるようです」(岩平小学校・中村和子先生)

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