特集 「学びに向かう」生徒をどう育てるか?

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【調査結果】

学習時間の減少に歯止めも、
学びの内容には課題が

ベネッセコーポレーションは、1990年からほぼ5年ごとに小・中・高校生の学習意識などを把握する「学習基本調査」を行っている。06年の第4回調査では、低下傾向だった中学生の学習時間が上昇に転じる一方、学習姿勢については課題が明らかとなった。

「学習基本調査」 調査概要
●調査テーマ  学習に関する意識・実態調査
●調査方法 学校通しの質問紙による自記式調査
●調査時期 第1回学習基本調査 1990年9〜10月
第2回学習基本調査 1996年5〜6月
第3回学習基本調査 2001年5〜6月
第4回学習基本調査 2006年6〜7月
●調査対象 中学2年生・全国3地域〔大都市(東京23区内)、地方都市(四国の県庁所在地)、郡部(東北地方)〕第1回2,544人、第2回2,755人、第3回2,503人、第4回2,371人
「第4回学習基本調査」(速報版)の内容はこちら

学習時間が「下げ止まる」

 今回の調査でもっとも大きな変化の一つが、長らく低下傾向にあった中学生の1日の家庭学習時間の下げ止まりである。図1によると1990年時点で1日平均96.9分だった学習時間は、01年には80.3分にまで低下したが、06年度調査では87.0分まで持ち直した。
  現場ではここ数年「特に下位層対策に力を注いでいる」といった声をよく耳にしたが、実際、01年度と1日あたりの学習時間の内訳を比べてみると、「ほとんどしない」「およそ30分」の層が減少し、1時間30分〜3時間30分の層で増加が目立つ。ただし、この点については学校の指導のほか、塾通いの影響を指摘する声もある。
  一方、こうした現場の動きの背景として、行政サイドの動きを確認したい。1ページの年表に示したように、この5年の間には、「学びのすすめ」や学習指導要領の「最低基準化」など、いわゆる「脱ゆとり」路線への政策転換が進められてきた。そうした動きが、子どもの学習行動にも一定の影響を与えたことが推察される。

図1

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