指導変革の軌跡 保育園から中学校までが連携し、地域ぐるみで学校の荒れをなくす

岡山県岡山市立岡輝(こうき)中学校

岡山県岡山市立岡輝(こうき)中学校

岡山市の中心部に位置。繁華街に近く、周辺は住宅や商店が密集している。校区の保育園から幼稚園、小学校、同校まで、地域・保護者・教師・保育士が連携した取り組みを続けている。

校長●森谷正孝先生

児童数●359名

学級数●13学級(うち特別支援学級2)

所在地●〒700-0867 岡山県岡山市岡町12-17

TEL●086-224-0358

FAX●086-224-0359

URL●http://www.city-
okayama.ed.jp/~kokic/


森谷正孝

▲岡山市立岡輝中学校校長

森谷正孝
Moriya Masataka
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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指導変革の軌跡

そのとき、生徒は、教師はどう変わったか

保育園から中学校までが連携し、
地域ぐるみで学校の荒れをなくす

岡山県岡山市立岡輝(こうき)中学校

実践のポイント

限界にきていた「学校丸抱え」の生徒指導

 白や黄色のカラー学生服に、びっしり縫い込まれた刺繍(しゅう)。頭髪も色とりどりの派手なモヒカン刈り…。
 「この写真を見ていただいた方が早いですね」
 そう言って岡輝中学校の森谷正孝校長が取り出したかつての卒業式後の写真には、そんな暴走族風の3年生が数人写っていた。そのまわりには、彼らを遠巻きに見ている普通の学生服を着た生徒の姿。異なる二つの世界が同校に存在していたことを象徴する1枚だ。
 「荒れている生徒が1人いると、雪崩現象のようにほかの生徒に波及することがあります。しかし、本校はそうではなく、一部の生徒が度を超えて荒れている状況でした」(森谷校長)
 器物破損や喫煙、夏には学校の廊下を水平に飛ぶロケット花火…。一部の生徒によって、何でもありの状況が続いていた。気まぐれに登校すると、溜まり場は教室でも廊下でもなく、職員室。10名ほどの生徒が教師の席に我が物顔で座っていた。
 「彼らが登校すると、授業担当以外の教師が職員室で対応していました。ひとしきり話を聞くと、その場で基礎的な勉強をすることもありました。しかし、いらつく気持ちを整理できないときは、ときに手の付けられないほど暴れることもありました」(森谷校長)
 岡山市内でも生徒指導困難校として知られていた同校。市内に異動を希望する県下の教師の中から、特に生徒指導の力量がある教師が配属されていた。
 しかし、学校内の生徒と教師の人間関係だけに頼った指導は限界を超えていた。95年に当時の校長が倒れ、97年に赴任した次の校長も1年も経たずに倒れたのだ。そんな状況の中、98年春、川上洋一校長(現・地域学校協議会会長)、森谷教頭(現・校長)、新PTA会長の三者が就任した。川上元校長は「対教師暴力は絶対に許さない」と、警察との連携も辞さない断固たる態度を表明。これが長い再生への道のりの出発点となった。

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