授業を教員と学生との真剣勝負の場にする――。同志社大学がクレーム・コミッティの導入を検討し始めた時のスローガンだ。クレーム・コミッティとは、学生から授業内容や授業方法、成績評価に関するクレームを受け付け、調査・審議の上で解決に当たる組織。学生との対話を通して信頼感を築き、授業改善につなげたいという思いが、このスローガンに込められている。
同志社大学では2002年から全学的な方針で、厳密な成績評価の実施を中心に教育改革を進めてきた。成績評価基準の明示、学生による授業評価、試験結果の公表など諸施策を実施し、教育に責任を持つ姿勢を強く打ち出した。
クレーム・コミッティもそうした改革の一環だ。導入の契機は、2004年度のGPA制度導入と履修制度の大幅な見直しだった。GPA制度ではグレード評価の評点が「4、3、2、1、0」と1点刻みで、従来の100点満点法と比べ、評価に対する異議が増える可能性がある。また、履修制度の変更で、開講1週目(いわゆる受講お試し期間)の後に受け付けていた科目登録をやめたため、授業の内容や方法へのクレームが増えると予想された。
田端信廣副学長は「大学側が気付かないところで学生の不満がうっせきすると、両者の信頼関係が損なわれかねない。不満を制度の中で正面から受け止めることで、授業や教員に対する信頼感を高めることが、クレーム・コミッティの最大の目的」と述べる。
クレーム・コミッティは学部単位の9つのほか、独立研究科、専門職大学院など、計15の組織がある。教務主任を中心とする3、4人の教員で構成される。これら個別の教学組織では対応できない全学的なクレームは、教務部長が委員長を務める全学クレーム・コミッティで取り扱う。クレームへの対応は、図1の手順で進められる。
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